小説「やまあいの煙」(映画化もしている)
- 2014/12/10
- 16:53
小説「やまあいの煙」(映画化もしている)
たまには一般小説の中の母子相姦でも、と。
この「やまあいの煙」はたしか映画「愛しき日々」の原作にもなったんじゃないですかね。
内容的にはあのアカデミー賞をとった「おくりびと」を思わせるもので同じ葬儀に関わる仕事を生業とした男の物語なんですよ。
さて、軽く紹介。
火葬場で勤務する主人公は使者を火葬し、荼毘に付す仕事をしている。
ただ人から疎まれ良く思われない職業であるが故、恋人にも自分の仕事をきちんと言えなくて葛藤を抱える日々だった。
少年時代、彼は母一人子一人の母子家庭だった。
やがて母親は再婚する事になり、義父との生活が始まる。
皮肉にも義父もまた後に主人公と同じ火葬場で務める男と再婚したのだ。
それを承知で再婚したにも関わらず母親はやがて義父の仕事を嫌悪するようになり、父に懐いていた主人公を置いて家を出て行ってしまった過去があった。
それから彼は義父と二人で暮らし、やがて義父もまた主人公が天に見送った。
そして今も主人公は自分は必要で良い仕事をしていると自分に言い聞かせるように火葬場での勤めに誇りを持っていた。
そんなある日の勤務中、リヤカーを引いた老婆が火葬場を訪れる。
リヤカーには30歳くらいの男性が乗っており彼女は憔悴した様子だったので、話を聞いてみると、やはりそれはたしかに彼女の息子だった。
家まで送って話を聞いてみると、彼女は息子と過ごした日々、そして息子との禁忌の記憶を話し始めた…。
何しろ作品が古くて(昭和54年発表)、女流作家さんでもありますので、淡々とした描写で描かれています。
彼女の息子が15歳の時に「異常」さを発揮し始め、やがて彼女は息子を連れて家を出て…親子で情欲を交えた事も含めて彼女の話はしみじみと続きます。
話を聞いている内に彼女の母性が主人公の心の中に、かつて自分を捨てた母親とその彼女が不思議と重なっていって…。ラストシーンで主人公は不意に、といった感じで老婆(といっても息子を亡くしたショックで憔悴していただけで、彼女はまだそれなりに若い事を再発見する)に一緒に暮さないか、と言います。
まあ、主人公には別に老人介護が主な病院に勤めている恋人がいたりはするんだけど…。
なんていうか、物語全般に昭和以前の古い時代のような味わいがありますね。
火葬場に勤務している男というのは「おくりびと」にも登場していましたが、絶対に必要でもあるにも関わらず社会から嫌われているというのも共通しています。
そういえばあの映画でも仕事を終えた後、主人公の妻は納棺夫という仕事に嫌悪して出て行ったり、火葬場に勤めていた男も仕事を終えた後は銭湯で体を洗い流すという事を習慣としていましたね。
小説版も映画もエロ目当てではほとんど何の期待にも応えないでしょうけど、興味がある方はどうぞ。
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たまには一般小説の中の母子相姦でも、と。
この「やまあいの煙」はたしか映画「愛しき日々」の原作にもなったんじゃないですかね。
内容的にはあのアカデミー賞をとった「おくりびと」を思わせるもので同じ葬儀に関わる仕事を生業とした男の物語なんですよ。
さて、軽く紹介。
火葬場で勤務する主人公は使者を火葬し、荼毘に付す仕事をしている。
ただ人から疎まれ良く思われない職業であるが故、恋人にも自分の仕事をきちんと言えなくて葛藤を抱える日々だった。
少年時代、彼は母一人子一人の母子家庭だった。
やがて母親は再婚する事になり、義父との生活が始まる。
皮肉にも義父もまた後に主人公と同じ火葬場で務める男と再婚したのだ。
それを承知で再婚したにも関わらず母親はやがて義父の仕事を嫌悪するようになり、父に懐いていた主人公を置いて家を出て行ってしまった過去があった。
それから彼は義父と二人で暮らし、やがて義父もまた主人公が天に見送った。
そして今も主人公は自分は必要で良い仕事をしていると自分に言い聞かせるように火葬場での勤めに誇りを持っていた。
そんなある日の勤務中、リヤカーを引いた老婆が火葬場を訪れる。
リヤカーには30歳くらいの男性が乗っており彼女は憔悴した様子だったので、話を聞いてみると、やはりそれはたしかに彼女の息子だった。
家まで送って話を聞いてみると、彼女は息子と過ごした日々、そして息子との禁忌の記憶を話し始めた…。
何しろ作品が古くて(昭和54年発表)、女流作家さんでもありますので、淡々とした描写で描かれています。
彼女の息子が15歳の時に「異常」さを発揮し始め、やがて彼女は息子を連れて家を出て…親子で情欲を交えた事も含めて彼女の話はしみじみと続きます。
話を聞いている内に彼女の母性が主人公の心の中に、かつて自分を捨てた母親とその彼女が不思議と重なっていって…。ラストシーンで主人公は不意に、といった感じで老婆(といっても息子を亡くしたショックで憔悴していただけで、彼女はまだそれなりに若い事を再発見する)に一緒に暮さないか、と言います。
まあ、主人公には別に老人介護が主な病院に勤めている恋人がいたりはするんだけど…。
なんていうか、物語全般に昭和以前の古い時代のような味わいがありますね。
火葬場に勤務している男というのは「おくりびと」にも登場していましたが、絶対に必要でもあるにも関わらず社会から嫌われているというのも共通しています。
そういえばあの映画でも仕事を終えた後、主人公の妻は納棺夫という仕事に嫌悪して出て行ったり、火葬場に勤めていた男も仕事を終えた後は銭湯で体を洗い流すという事を習慣としていましたね。
小説版も映画もエロ目当てではほとんど何の期待にも応えないでしょうけど、興味がある方はどうぞ。
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