中篇「夜が更ける前に」
- 2016/12/05
- 22:49
さて12月の更新になります。
今回はちょっと長めで、個人的には王道を描いてみたつもりです。
新鮮味がないとも言えますが…。
さて年内中にまた更新するかどうかは分かりませんが、これが年内最後の更新になる可能性もあります。
そうなる可能性も低くはないので、ちょっと早いですが2016年のお礼を申し上げます。
今年も拙作を読んでいただき、ありがとうございました。
来年2017年も(FCブログ自体の存続の心配もありますが)よろしくお願いします。
それでは「夜が更ける前に」。
宜しければどうぞ。
今回はちょっと長めで、個人的には王道を描いてみたつもりです。
新鮮味がないとも言えますが…。
さて年内中にまた更新するかどうかは分かりませんが、これが年内最後の更新になる可能性もあります。
そうなる可能性も低くはないので、ちょっと早いですが2016年のお礼を申し上げます。
今年も拙作を読んでいただき、ありがとうございました。
来年2017年も(FCブログ自体の存続の心配もありますが)よろしくお願いします。
それでは「夜が更ける前に」。
宜しければどうぞ。
中篇「夜が更ける前に」
部活で帰りが遅くなった日、母にメールを入れて迎えを頼んだ。
比較的近場の多い友達と違い、遠隔地から電車で1時間以上もかけて通っている僕には車で迎えに来てもらった方がずっと早い。
分かったと母の返事のメールが入ってから3,40分ほど経ってからようやく母の運転する紫の軽が現れた。
車道沿いに止まるのを確認してから、まだ立ち話をしていた友達と別れを言い、ようやく車に乗り込むため、近づく。
フロントガラス越しに友達が会釈しているのをやけに愛想よく母は笑顔で軽く手を挙げると、アクセルを踏み込みゆっくりと車を発進させた。
以前友達たちが見た目が若いと言っていたのを覚えていたらしく、少し得意そうにもう一度だけ友達たちに会釈して脇を通り抜けた。
社交辞令だろうにと思いながら、そんな母を横目でチラと見た後、正面に向き直った。
いくつになっても若いと言われるのは女として嬉しいものかもしれないけれど、わざわざ夜に化粧して来るなんてさすがに過剰じゃない?
そんな皮肉を言っても母は機嫌良さそうにふっふっと声を出して笑っている。
「もう晩御飯は済ませたの?」
尋ねると、母は頷いて父と夕飯を終え、風呂の順を待っていると電話が入ったのだという。
そう言って交差点に差し掛かると、母はシフトチェンジして車を止めた。
その間もドッドッと小刻みにブレーキを踏む癖は父と一緒だった。
いくら若く見えるとはいえ、二の腕の太さや膨らんだ胸の下の下腹の丸さまでは変わらないだろうに…そう毒づきたくもなるけれど薄くウェーブをかけた髪を片手でかき上げる仕草の母はたしかに変な色気はある様に見えた。
「晩御飯どこにする?後はあなただけだから外で食べてかない?」
支度が面倒だからか、外食は高いと避ける事の多い母にしては珍しくそんな事を言う。
家の方に戻ると夜早くに閉まる店が多いので、街中で済ませる事にした。
母は飲み物だけなので、それでも過ごしやすいような道沿いのファミレスに入る。
明日から土曜休みとはいえ、昼からは部活がある。
何だかそれがタルいな…そんな愚痴を零すと母はまた可笑しそうに笑う。
どうも普段と違う感覚があるのか、何だか父と居る時と違い、少し陽気になっているようだった。
「明日は休みだし、ちょっとその辺走ってかない?」
そんな普段なら疲れるとかすぐに言うのに、珍しく母は頷いて車を走らせ隣市の公園に向かわせた。
サクラの名所で有名なその公園の駐車場に止め、少しだけ車を降りて歩くことにした。
あんまり遅くなると父が心配するかもしれないと言うと、もう晩酌して寝ちゃう頃じゃないと母はにべもない。
桜の季節はとうに過ぎているけれど、新緑とよく通る夜風が心地よく、道に沿って等間隔に立っている照明の灯りが優しく、そんな場所を母親と二人で歩いている事が少し不思議だった。
少し伸びをした母は心地よさそうに首を軽く鳴らしている。
僕の視線に気づいたのか母は僕の顔を見てニコッと微笑んでくる。
何だその顔…そんな風には思えない程、その時の母はまるでデートをしている時の女を感じさせられるものだった。
一瞬だけだけど、見つめ合った気まずさを隠すように僕は歩き出した。
車の中に戻ると、どこか妖艶だった母の雰囲気がさっきまでと違ってどこか気落ちしたように沈んで見えた。
これから帰る事がそんなに気が重いのかと思ったけれど、真意は分からなかった。
「帰ろっか」
ハンドルを握って少し息を吐いた母は僕に向き直って言った。
黙ったまま僕は頷いたけれど、心の中では母を意識してしまいどうしようもなかった。
息苦しいほどに鼓動が早まり、変な思いが頭をかすめてくる。
変に沈黙が続いた後、シフトレバーに伸びた母の手を止めるように手を重ねる。
一瞬言葉を失った母は少し困ったように僕を見たが、応えずにそのまま母の指に指を絡ませるように重ねると、少しして繋ぐように握りあう。
俯いたままの母はエンジンを掛けたまま、車を発進させようとしないので、このまま母を求めてしまいたくなる衝動に駆られる。
もしかしたら母もそんな事を考えているんじゃないかと思った。
それくらいに黙ったまま僕と指を絡め合っている今の状態はやっぱり普通じゃなかった。
何でだかは今もよく分からない。
多分僕がずっとそうだったように、母が息子である僕に異性を感じた事なんて一度もなかったはずだった。
友達が若い母親扱いしたから女として見られたくなった?
息子である僕も若い母として見られるかと確かめたくなった?
あるいは…僕が心の底で友人たちに嫉妬したように、母も嫉妬されたくなったのか?
月一つ出ていない暗い夜だった。
公園の常夜灯が照らすだけの人気のない公園は同性愛者のメッカだという噂も聞いたことがあったけれど、その日はほとんど他の車も見かけなかった。
そっと母と手を重ねたまま、顔を近づけると母は少しだけ顔を背けて逃げるような動きをしたが、それほど強い拒絶は感じなかった。
鼻先に母の化粧の香りを感じるほど近づいたとき、母は少し熱のこもった吐息を吐き、暗い瞳を僕に向けてきた。
母の気持ちがどんなものなのかは全く分からなかった。
「〇〇…」
母は僕の名前を小さく呼んだ。
「ダメ…」
聞こえるかどうか位の小さな声で母は拒んだけれど、構わずに強く唇を重ねていく。
僕の肩を押し返すように手を突き出してくるが、唇を離さないように重ねた母の手の甲を撫で続けると、少しずつ抵抗が緩んでくるのがわかった。
葛藤を抱えながらも、耐えられなくなった僕はゆっくりと母の乳房に手を伸ばす。
固い素材の向こう側の柔らかな乳房の感触が伝わってくる。
軽く掌で母の乳房の柔らかさを確かめるように動かすと、母の暗い瞳が少し潤んだ様に光を帯びた様に見えた。
「母さん…」
「ダメ、止めて…」
力ない拒絶の声に母の心が揺れているようだった。
もう一度唇を重ねに行くとさっきよりも大きく顔を背けようとしたが、窓に押し付けるように横顔から唇を重ねに行く。
強く舌を入れようとするほど、母は拒み続けたが、胸を、そして母の手から腕を弄り続けるうちに母の声はかすかに震えだし始めた。
「母さんが欲しい…」
「ダメよっ…止めて、そんな事…」
「したいよ…」
そう重ねて耳元で囁くと、母は諦めが入ったように僕の口づけの合間に悩ましい目線を向けてくる。
シートベルトを外した僕は運転席の母に覆いかぶさるように身体を寄せ、母の太腿に手を掛ける。
「本当にダメ…それは絶対に…」
下半身に触れられ、余計にこの行為の行先を意識させられたのか、母は両腿を強く締め付けるが、何度もキスし胸の撫でまわし続けるうちに柔らかさが増してくる。
「っ…ダメっ…」
指先が下着越しに母の底に触れた時、母は反射的に少し大きな声で言う。
この向う側に母の…が…、
そう思うと、欲情に火がつき何度も指先で擦る様に母の股間に触れる。
正直固い下着の布の感触しかしなかったけれど、自然と指先に汗をかきそうなほど熱くなっているようにも感じられた。
「こんな事しちゃダメって…」
とても止められる状態ではなくなった僕はただ指で母の入り口をノックするように触れ続ける。
ブンと音を立てて駐車場に入ってくる乗用車が一台あった。
はっとした僕らは一瞬身を離して侵入者の正体を見極めようと目を凝らす。
見覚えのない白いセダンが離れた位置に駐車されると、少ししてからドアが開いて大柄な人影が下りてきた。
そのままこちらには振り向きもしないで公園に入っていく。
僕と母はその人影が見えなくなるのを待ってから再び唇を重ねると、先ほどまでと違って抵抗が弱まった母は興奮しているような息の荒さで、自ら僕の頭に腕を巻いてくる。
このまましてしまいたいと思った僕は母の衣服に手を掛けると、手で押さえて拒んでくる。
「こんなとこで出来ない…」
小さく言う母の言葉に僕は確かめるように目を見ると、母は少し俯いた。
母の運転する軽が再び走り出す。
公園に来た時と違い、どこか自信無げな速度だけど、時折助手席の僕に目線を送ってくる。
高速下のちっぽけなモーテルのピンクの簾のかかった駐車場に入れる。
先に車を降りて建物に歩き出したが、なかなか母が下りてこようとしない。
躊躇いが直前になってよぎったのだろうけれど、ここまできて止める道理がない。
数分近く建物の自動ドアの前で待っていると、観念したように運転席のドアがゆっくりと開いて母が下りてきた。
駐車場に止められた他の車をチラチラと見ながら歩いてきた母は僕の近くまで来ると、俯いて一緒に歩き出した。
壁に仕切られ直接人と対面しないフロントに受付を済ませ、二階だという老婆の声と共にキーを受け取る。
受け取ったキーを母に軽く見せても、表情は硬いままだった。
薄暗い廊下を進み、キーに書かれた部屋番号を確認しながら案内板の掛かる細い階段を上る。
いつか高校の彼女と言ったホテルはもっと近代的で輝くような装飾だったけれどと思った。
木製のドアのノブを掴んで、ゆっくりと押し開ける。
空調の乾いた空気と幽かなアロマのような香りが漂ってくる。
古い割にはそれなりに掃除はしているらしく、ちょっと意外な気がした。
もちろん広くもない部屋だったけれど、土間から少し上がると部屋いっぱいに大きな丸いベッドが置かれている。
回転ベッドてやつかな…初めて見た過去の遺物のようなものだけど、部屋の壁も紅く染めるほどいやにムーディな照明がこれから母親とそういうことをするのだと改めて感じさせられる。
寝室の向こう側には細いドアがあり、バスタブはそちらにまとめてあるみたいだった。
手荷物をベッドテーブルに置いて腰かけると、玄関のところで母がバッグを肩に掛けたまま、まだ落ち着く居場所が無いように立ち尽くしている。
「母さんこっち」
鞄を置くようにテーブルを指すと、ようやく我に返ったように母はバッグを肩からおろした。
「少しお話ししようか…」
そう言って母はソファの方に腰を下ろした。
部屋に行ったらすぐに始めるつもりだった僕は少し肩透かしを食った気分だったが、合わせて母のすぐ隣に座った。
肩と肩が触れるほど密着して腰かけたが母は何も言わなかった。
それから数分間お互いに話す内容をまとめ合う様に黙り続けた。
何ていったら正しいのか、そもそも答えなんてないのだろうけれど、考え続けた。
ふぅ…と小さく息を吐いた母はようやくまとまったように話し始めた。
「…〇〇はいいの?こんなとこに親子で来て」
「…うん」
「…私は怖いわ、こんな事…いまさらだけど」
じゃあ何で自分で運転してきたなんて、茶化せるような雰囲気は全くない。
「俺も怖いよ、怖いけどでも…」
「………でも?」
「母さんとしたい…」
「………いいの?一生後悔するかもしれないのよ?母親とこんなことして…」
僕は答えずに母の膝の上で固く握られたままの手の上に掌を重ねていく。
母は傍らに置いてあったバッグから携帯を取り出して、画面を睨み始める。
父にメールをしていると、何となく聞かなくても分かった。
打ち終わった母は勢いを付けるようにテーブルの上にトンと携帯を置く。
「………私も」
「うん?」
「私も後悔するかもしれないけれど…」
そう言った母はぎゅっと僕の手を握り返してきた。
それが母の答だった。
そのまま母を強く抱きしめ、唇を重ねていく。
もはや母は吹っ切ったように強く押し付けてきて自ら求めるような濃厚なキスを母からしてきた。
「母さん…」
そう言って母の手を引いてベッドに導く。
「もう我慢できないよ」
そう母に呟くと、感極まったような高く細い声を白い喉の奥から漏らした。
ベッドに組み敷いた母の上に覆いかぶさると、もう一度濃厚な口づけを交わす。
唇が離れた僅かな時間、母は潤んだ瞳で僕を見上げていた。
性の雰囲気を感じた事のない母だった。
もちろん普通の親子ならどこでもそんなものだろう。
しかし、今、そんな風にごく普通の主婦だった母と一線を交えようとしている。
生まれたままの姿になった母と布団の中で睦み合い、やがて繋がる。
かつてヤッた彼女と同じ一人の女のはずなのに、相手が母親だというだけで全く違う特別な感覚が拭えない。
「何も言っちゃだめ…」
何かを言おうとした僕を遮る様に母の人差し指が僕の唇に押し当てられた。
軽く指先を口に含んだ後、それからは母の望み通りに言葉を交わす事も無かった。
若い僕にとって熟し切っていた母はあまりに魅力的だった。
豊満な母の肉体にむしゃぶりつくように求め、口をつける。
初めは遠慮がちだった母の反応も肌が熱くなるほど、徐々に激しさを増し、心地よさそうに僕の肩を撫でまわしてくる。
そんな余裕ある母の態度がやはり僕の知らなかった女としての成熟を感じさせられる。
親子でこんなことをしている、そんな戸惑いは最後まで消えなかったが、母は吹っ切ったようにベッドの上では女として振舞った。
繋がるまでの僅かな間、少しだが母は頼んでもいないのに僕の股間に顔を埋めてくる。
たとえベッドを共にしても親である事には変わりのない人にそんな従順な態度を取られることで、母が女になっている事を感じる。
母の紅く柔らかな濡れた舌が僕自身に這い回るうちに、自分が夢みていた事が遂に実現している感慨に耽る。
そっと母の頭部に手を置くと、それをきっかけにするように頭を揺する様に唇で擦り始める。
快楽よりも母親にそんな事をさせているだけでどうにかなりそうだった。
もちろんこれだけで終わるつもりのなかった僕は母の肩に置いた手に少し力を入れ、止めさせるように少し話すと、母の唇から濡れて光る僕自身が弾かれるように出て来た。
そしてついに母として,年上の女として、成熟の極致に達したその肉体を開いた。
誘われるように母の中心に進み、やがて下半身同士を重ね合わせていく。
母は自ら腰を少し上げ、僕を受け入れるために自らの両膝を掌で押さえていた。
遂にやってきたことの時を感じながら、僕と母は近づいていった。
互いの性器の熱が伝わりそうなほど距離が近づき、やがて触れた瞬間に互いの体が電撃的に反応する。
心か体が本能的に行為を止めるように働いたように思えた。
ほとんど恐れのように母は反射的に腰を引こうとしたが、両手を母の腰骨にかけ宛がうように先端を押し付けると、母ははっとしたような表情で僕を見つめた。
反射的に逃れようとした肉体の反応に気づき、考えが変わってしまうかもしれない。
母の唇が動き始めた瞬間、僕と母は一つになり始めた。
ぐっと母の膣道を進む間、何か言いかけた母の唇はパクパクと音が消えたまま動き、やがて一番根元までたどり着いた時に、初めて母は喘ぎ声を漏らした。
体重をかけないように腕で体勢を支えたまま、僕は重なった下半身を動かし始める。
熱く柔らかく広がった母の体内を行き来し、はるか昔に知っているはずの母の感触を思い起こそうとしていた。
もっとはっきりと思い出すために僕は母の躰を抱きしめ、もっと深くに入り込んでいく。
動くほどに母の瞳は堅く閉ざされ、眉間には僅かにシワが浮かんでいる。
そんな何かに耐えているかのような反応とは裏腹に母の下半身は僕を受け入れ、弾むように僕の動きに合わせている。
大きくはないものの、母は短く小さく何度も喘ぎ声を漏らしながら僕の下で悶え感じていた。
小さく小刻みな律動だけれど、相手が母親である事で普通の感覚とは全く違う充足感がある。
僕の限界が近い事に気配で気づいた母は小さく僕の肩に力を込め、注意を促してくる。
無我夢中とはいえ、まだ子供を宿すことの出来る母親を妊娠させるわけにはいかない。
限界が目前まで迫った時に母は自ら腰を引いて僕のモノを抜き取らせたが、余韻で射精に達した僕は母の白い下腹にぶちまけ、あまりの勢いの強さに逆流するように母の下乳にまで流れた。
あまりに強い快楽と感覚に僕はがっくりと疲れを覚え、母の横に横たわった。
自然と母と隣り合うようにして二人で毒々しい赤色の天井を眺める形になった。
二人ともしてしまったという感覚がじわじわと胸に湧いてくる。
それは真っ黒な沁みのように心に広がり始めるが、それを母がどう思っているのかが気になっていた。
「しちゃったね…」
僕に言うとも独り言のようにも母が言った。
小さく曖昧に相槌を打つと、母はそれから何も言わずに深く息を吐いた。
「でも…」
「………」
言いかけた僕の言葉を待つように母は黙って耳を傾けているのが分かる。
「別に嫌じゃないよ。」
「………そう」
「うん、嫌ではない」
「そうね、私も嫌じゃないかも」
そう言って母は初めて小さく笑顔を見せて笑った。
今までそんな風に一度も見せた事のない母の柔和で女らしい表情を見て、その時初めて僕の胸に甘酸っぱいような感情を覚えた。
もう雰囲気は親子に戻りかけていたというのに、何となく惜しいような気がして、僕は母の肩を引き寄せながら唇を近づけた。
拒まれるような気もしたが、少し間があってから唇を重ねてくる。
互いの体を弄りあいながら、何度も唇を重ね合わせる。
そしてごく自然な事のように母を組み敷くと、再び母と肉体を繋がらせる。
肉欲と親子の情愛が混じり合う、近親相姦特有のセックスの酸味がしそうなほど腐敗した甘さ。
やがて近づいてきた僕の限界に母は気づいたようだったけれど、さっきと違い母は何も言わずに僕の首に腕を巻き付けてくる。
母に良いのか、と小さく尋ねると母は顔を赤くしながら頷いた。
そのまま母の胎内に精を吐き出してしまったが、さっきと違って子宮に吸い込まれるような引き込まれる感触がする。
顔を上気させた母が僕を妖しく見上げてきた。
しかしその瞳にははどこか虚ろな影があった。
多分僕も同じ目をしているだろう。
同じ血が流れているのだから。
その事を頭で思うと同時に不意に寒気にも似た感覚に襲われる。。
「っ………」
声にならない声が母の喉の奥から漏れた。
何の予兆も無く僕が射精してしまっていたからだ。
突き飛ばすように僕の体を押しのけると、一人母は先に浴室に姿を消してしまった。
その態度に僕は母がまだ妊娠することの出来る体だという事を思い出す。
すぐに戻ってくるかと思った母はそのまましばらく部屋に戻らなかった。
母は今どんな顔をしているんだろう。
何を考えているんだろう。
そんな事を考えながらベッドの上に寝転がると、天井を見上げた。
さっきまで抱き締めていた母の肉体の感触が今も暖かく残っている。
母が浴室から出て来たのは休憩がもう終わりかけの頃だった。
長い時間をかけて化粧を直した母はさっさと服を着始めるので、少し遅れて僕も起き上がり帰り支度を始める。
壁にかかっている時計の針はちょうど午後9時を回ったばかりだった。
(完)
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部活で帰りが遅くなった日、母にメールを入れて迎えを頼んだ。
比較的近場の多い友達と違い、遠隔地から電車で1時間以上もかけて通っている僕には車で迎えに来てもらった方がずっと早い。
分かったと母の返事のメールが入ってから3,40分ほど経ってからようやく母の運転する紫の軽が現れた。
車道沿いに止まるのを確認してから、まだ立ち話をしていた友達と別れを言い、ようやく車に乗り込むため、近づく。
フロントガラス越しに友達が会釈しているのをやけに愛想よく母は笑顔で軽く手を挙げると、アクセルを踏み込みゆっくりと車を発進させた。
以前友達たちが見た目が若いと言っていたのを覚えていたらしく、少し得意そうにもう一度だけ友達たちに会釈して脇を通り抜けた。
社交辞令だろうにと思いながら、そんな母を横目でチラと見た後、正面に向き直った。
いくつになっても若いと言われるのは女として嬉しいものかもしれないけれど、わざわざ夜に化粧して来るなんてさすがに過剰じゃない?
そんな皮肉を言っても母は機嫌良さそうにふっふっと声を出して笑っている。
「もう晩御飯は済ませたの?」
尋ねると、母は頷いて父と夕飯を終え、風呂の順を待っていると電話が入ったのだという。
そう言って交差点に差し掛かると、母はシフトチェンジして車を止めた。
その間もドッドッと小刻みにブレーキを踏む癖は父と一緒だった。
いくら若く見えるとはいえ、二の腕の太さや膨らんだ胸の下の下腹の丸さまでは変わらないだろうに…そう毒づきたくもなるけれど薄くウェーブをかけた髪を片手でかき上げる仕草の母はたしかに変な色気はある様に見えた。
「晩御飯どこにする?後はあなただけだから外で食べてかない?」
支度が面倒だからか、外食は高いと避ける事の多い母にしては珍しくそんな事を言う。
家の方に戻ると夜早くに閉まる店が多いので、街中で済ませる事にした。
母は飲み物だけなので、それでも過ごしやすいような道沿いのファミレスに入る。
明日から土曜休みとはいえ、昼からは部活がある。
何だかそれがタルいな…そんな愚痴を零すと母はまた可笑しそうに笑う。
どうも普段と違う感覚があるのか、何だか父と居る時と違い、少し陽気になっているようだった。
「明日は休みだし、ちょっとその辺走ってかない?」
そんな普段なら疲れるとかすぐに言うのに、珍しく母は頷いて車を走らせ隣市の公園に向かわせた。
サクラの名所で有名なその公園の駐車場に止め、少しだけ車を降りて歩くことにした。
あんまり遅くなると父が心配するかもしれないと言うと、もう晩酌して寝ちゃう頃じゃないと母はにべもない。
桜の季節はとうに過ぎているけれど、新緑とよく通る夜風が心地よく、道に沿って等間隔に立っている照明の灯りが優しく、そんな場所を母親と二人で歩いている事が少し不思議だった。
少し伸びをした母は心地よさそうに首を軽く鳴らしている。
僕の視線に気づいたのか母は僕の顔を見てニコッと微笑んでくる。
何だその顔…そんな風には思えない程、その時の母はまるでデートをしている時の女を感じさせられるものだった。
一瞬だけだけど、見つめ合った気まずさを隠すように僕は歩き出した。
車の中に戻ると、どこか妖艶だった母の雰囲気がさっきまでと違ってどこか気落ちしたように沈んで見えた。
これから帰る事がそんなに気が重いのかと思ったけれど、真意は分からなかった。
「帰ろっか」
ハンドルを握って少し息を吐いた母は僕に向き直って言った。
黙ったまま僕は頷いたけれど、心の中では母を意識してしまいどうしようもなかった。
息苦しいほどに鼓動が早まり、変な思いが頭をかすめてくる。
変に沈黙が続いた後、シフトレバーに伸びた母の手を止めるように手を重ねる。
一瞬言葉を失った母は少し困ったように僕を見たが、応えずにそのまま母の指に指を絡ませるように重ねると、少しして繋ぐように握りあう。
俯いたままの母はエンジンを掛けたまま、車を発進させようとしないので、このまま母を求めてしまいたくなる衝動に駆られる。
もしかしたら母もそんな事を考えているんじゃないかと思った。
それくらいに黙ったまま僕と指を絡め合っている今の状態はやっぱり普通じゃなかった。
何でだかは今もよく分からない。
多分僕がずっとそうだったように、母が息子である僕に異性を感じた事なんて一度もなかったはずだった。
友達が若い母親扱いしたから女として見られたくなった?
息子である僕も若い母として見られるかと確かめたくなった?
あるいは…僕が心の底で友人たちに嫉妬したように、母も嫉妬されたくなったのか?
月一つ出ていない暗い夜だった。
公園の常夜灯が照らすだけの人気のない公園は同性愛者のメッカだという噂も聞いたことがあったけれど、その日はほとんど他の車も見かけなかった。
そっと母と手を重ねたまま、顔を近づけると母は少しだけ顔を背けて逃げるような動きをしたが、それほど強い拒絶は感じなかった。
鼻先に母の化粧の香りを感じるほど近づいたとき、母は少し熱のこもった吐息を吐き、暗い瞳を僕に向けてきた。
母の気持ちがどんなものなのかは全く分からなかった。
「〇〇…」
母は僕の名前を小さく呼んだ。
「ダメ…」
聞こえるかどうか位の小さな声で母は拒んだけれど、構わずに強く唇を重ねていく。
僕の肩を押し返すように手を突き出してくるが、唇を離さないように重ねた母の手の甲を撫で続けると、少しずつ抵抗が緩んでくるのがわかった。
葛藤を抱えながらも、耐えられなくなった僕はゆっくりと母の乳房に手を伸ばす。
固い素材の向こう側の柔らかな乳房の感触が伝わってくる。
軽く掌で母の乳房の柔らかさを確かめるように動かすと、母の暗い瞳が少し潤んだ様に光を帯びた様に見えた。
「母さん…」
「ダメ、止めて…」
力ない拒絶の声に母の心が揺れているようだった。
もう一度唇を重ねに行くとさっきよりも大きく顔を背けようとしたが、窓に押し付けるように横顔から唇を重ねに行く。
強く舌を入れようとするほど、母は拒み続けたが、胸を、そして母の手から腕を弄り続けるうちに母の声はかすかに震えだし始めた。
「母さんが欲しい…」
「ダメよっ…止めて、そんな事…」
「したいよ…」
そう重ねて耳元で囁くと、母は諦めが入ったように僕の口づけの合間に悩ましい目線を向けてくる。
シートベルトを外した僕は運転席の母に覆いかぶさるように身体を寄せ、母の太腿に手を掛ける。
「本当にダメ…それは絶対に…」
下半身に触れられ、余計にこの行為の行先を意識させられたのか、母は両腿を強く締め付けるが、何度もキスし胸の撫でまわし続けるうちに柔らかさが増してくる。
「っ…ダメっ…」
指先が下着越しに母の底に触れた時、母は反射的に少し大きな声で言う。
この向う側に母の…が…、
そう思うと、欲情に火がつき何度も指先で擦る様に母の股間に触れる。
正直固い下着の布の感触しかしなかったけれど、自然と指先に汗をかきそうなほど熱くなっているようにも感じられた。
「こんな事しちゃダメって…」
とても止められる状態ではなくなった僕はただ指で母の入り口をノックするように触れ続ける。
ブンと音を立てて駐車場に入ってくる乗用車が一台あった。
はっとした僕らは一瞬身を離して侵入者の正体を見極めようと目を凝らす。
見覚えのない白いセダンが離れた位置に駐車されると、少ししてからドアが開いて大柄な人影が下りてきた。
そのままこちらには振り向きもしないで公園に入っていく。
僕と母はその人影が見えなくなるのを待ってから再び唇を重ねると、先ほどまでと違って抵抗が弱まった母は興奮しているような息の荒さで、自ら僕の頭に腕を巻いてくる。
このまましてしまいたいと思った僕は母の衣服に手を掛けると、手で押さえて拒んでくる。
「こんなとこで出来ない…」
小さく言う母の言葉に僕は確かめるように目を見ると、母は少し俯いた。
母の運転する軽が再び走り出す。
公園に来た時と違い、どこか自信無げな速度だけど、時折助手席の僕に目線を送ってくる。
高速下のちっぽけなモーテルのピンクの簾のかかった駐車場に入れる。
先に車を降りて建物に歩き出したが、なかなか母が下りてこようとしない。
躊躇いが直前になってよぎったのだろうけれど、ここまできて止める道理がない。
数分近く建物の自動ドアの前で待っていると、観念したように運転席のドアがゆっくりと開いて母が下りてきた。
駐車場に止められた他の車をチラチラと見ながら歩いてきた母は僕の近くまで来ると、俯いて一緒に歩き出した。
壁に仕切られ直接人と対面しないフロントに受付を済ませ、二階だという老婆の声と共にキーを受け取る。
受け取ったキーを母に軽く見せても、表情は硬いままだった。
薄暗い廊下を進み、キーに書かれた部屋番号を確認しながら案内板の掛かる細い階段を上る。
いつか高校の彼女と言ったホテルはもっと近代的で輝くような装飾だったけれどと思った。
木製のドアのノブを掴んで、ゆっくりと押し開ける。
空調の乾いた空気と幽かなアロマのような香りが漂ってくる。
古い割にはそれなりに掃除はしているらしく、ちょっと意外な気がした。
もちろん広くもない部屋だったけれど、土間から少し上がると部屋いっぱいに大きな丸いベッドが置かれている。
回転ベッドてやつかな…初めて見た過去の遺物のようなものだけど、部屋の壁も紅く染めるほどいやにムーディな照明がこれから母親とそういうことをするのだと改めて感じさせられる。
寝室の向こう側には細いドアがあり、バスタブはそちらにまとめてあるみたいだった。
手荷物をベッドテーブルに置いて腰かけると、玄関のところで母がバッグを肩に掛けたまま、まだ落ち着く居場所が無いように立ち尽くしている。
「母さんこっち」
鞄を置くようにテーブルを指すと、ようやく我に返ったように母はバッグを肩からおろした。
「少しお話ししようか…」
そう言って母はソファの方に腰を下ろした。
部屋に行ったらすぐに始めるつもりだった僕は少し肩透かしを食った気分だったが、合わせて母のすぐ隣に座った。
肩と肩が触れるほど密着して腰かけたが母は何も言わなかった。
それから数分間お互いに話す内容をまとめ合う様に黙り続けた。
何ていったら正しいのか、そもそも答えなんてないのだろうけれど、考え続けた。
ふぅ…と小さく息を吐いた母はようやくまとまったように話し始めた。
「…〇〇はいいの?こんなとこに親子で来て」
「…うん」
「…私は怖いわ、こんな事…いまさらだけど」
じゃあ何で自分で運転してきたなんて、茶化せるような雰囲気は全くない。
「俺も怖いよ、怖いけどでも…」
「………でも?」
「母さんとしたい…」
「………いいの?一生後悔するかもしれないのよ?母親とこんなことして…」
僕は答えずに母の膝の上で固く握られたままの手の上に掌を重ねていく。
母は傍らに置いてあったバッグから携帯を取り出して、画面を睨み始める。
父にメールをしていると、何となく聞かなくても分かった。
打ち終わった母は勢いを付けるようにテーブルの上にトンと携帯を置く。
「………私も」
「うん?」
「私も後悔するかもしれないけれど…」
そう言った母はぎゅっと僕の手を握り返してきた。
それが母の答だった。
そのまま母を強く抱きしめ、唇を重ねていく。
もはや母は吹っ切ったように強く押し付けてきて自ら求めるような濃厚なキスを母からしてきた。
「母さん…」
そう言って母の手を引いてベッドに導く。
「もう我慢できないよ」
そう母に呟くと、感極まったような高く細い声を白い喉の奥から漏らした。
ベッドに組み敷いた母の上に覆いかぶさると、もう一度濃厚な口づけを交わす。
唇が離れた僅かな時間、母は潤んだ瞳で僕を見上げていた。
性の雰囲気を感じた事のない母だった。
もちろん普通の親子ならどこでもそんなものだろう。
しかし、今、そんな風にごく普通の主婦だった母と一線を交えようとしている。
生まれたままの姿になった母と布団の中で睦み合い、やがて繋がる。
かつてヤッた彼女と同じ一人の女のはずなのに、相手が母親だというだけで全く違う特別な感覚が拭えない。
「何も言っちゃだめ…」
何かを言おうとした僕を遮る様に母の人差し指が僕の唇に押し当てられた。
軽く指先を口に含んだ後、それからは母の望み通りに言葉を交わす事も無かった。
若い僕にとって熟し切っていた母はあまりに魅力的だった。
豊満な母の肉体にむしゃぶりつくように求め、口をつける。
初めは遠慮がちだった母の反応も肌が熱くなるほど、徐々に激しさを増し、心地よさそうに僕の肩を撫でまわしてくる。
そんな余裕ある母の態度がやはり僕の知らなかった女としての成熟を感じさせられる。
親子でこんなことをしている、そんな戸惑いは最後まで消えなかったが、母は吹っ切ったようにベッドの上では女として振舞った。
繋がるまでの僅かな間、少しだが母は頼んでもいないのに僕の股間に顔を埋めてくる。
たとえベッドを共にしても親である事には変わりのない人にそんな従順な態度を取られることで、母が女になっている事を感じる。
母の紅く柔らかな濡れた舌が僕自身に這い回るうちに、自分が夢みていた事が遂に実現している感慨に耽る。
そっと母の頭部に手を置くと、それをきっかけにするように頭を揺する様に唇で擦り始める。
快楽よりも母親にそんな事をさせているだけでどうにかなりそうだった。
もちろんこれだけで終わるつもりのなかった僕は母の肩に置いた手に少し力を入れ、止めさせるように少し話すと、母の唇から濡れて光る僕自身が弾かれるように出て来た。
そしてついに母として,年上の女として、成熟の極致に達したその肉体を開いた。
誘われるように母の中心に進み、やがて下半身同士を重ね合わせていく。
母は自ら腰を少し上げ、僕を受け入れるために自らの両膝を掌で押さえていた。
遂にやってきたことの時を感じながら、僕と母は近づいていった。
互いの性器の熱が伝わりそうなほど距離が近づき、やがて触れた瞬間に互いの体が電撃的に反応する。
心か体が本能的に行為を止めるように働いたように思えた。
ほとんど恐れのように母は反射的に腰を引こうとしたが、両手を母の腰骨にかけ宛がうように先端を押し付けると、母ははっとしたような表情で僕を見つめた。
反射的に逃れようとした肉体の反応に気づき、考えが変わってしまうかもしれない。
母の唇が動き始めた瞬間、僕と母は一つになり始めた。
ぐっと母の膣道を進む間、何か言いかけた母の唇はパクパクと音が消えたまま動き、やがて一番根元までたどり着いた時に、初めて母は喘ぎ声を漏らした。
体重をかけないように腕で体勢を支えたまま、僕は重なった下半身を動かし始める。
熱く柔らかく広がった母の体内を行き来し、はるか昔に知っているはずの母の感触を思い起こそうとしていた。
もっとはっきりと思い出すために僕は母の躰を抱きしめ、もっと深くに入り込んでいく。
動くほどに母の瞳は堅く閉ざされ、眉間には僅かにシワが浮かんでいる。
そんな何かに耐えているかのような反応とは裏腹に母の下半身は僕を受け入れ、弾むように僕の動きに合わせている。
大きくはないものの、母は短く小さく何度も喘ぎ声を漏らしながら僕の下で悶え感じていた。
小さく小刻みな律動だけれど、相手が母親である事で普通の感覚とは全く違う充足感がある。
僕の限界が近い事に気配で気づいた母は小さく僕の肩に力を込め、注意を促してくる。
無我夢中とはいえ、まだ子供を宿すことの出来る母親を妊娠させるわけにはいかない。
限界が目前まで迫った時に母は自ら腰を引いて僕のモノを抜き取らせたが、余韻で射精に達した僕は母の白い下腹にぶちまけ、あまりの勢いの強さに逆流するように母の下乳にまで流れた。
あまりに強い快楽と感覚に僕はがっくりと疲れを覚え、母の横に横たわった。
自然と母と隣り合うようにして二人で毒々しい赤色の天井を眺める形になった。
二人ともしてしまったという感覚がじわじわと胸に湧いてくる。
それは真っ黒な沁みのように心に広がり始めるが、それを母がどう思っているのかが気になっていた。
「しちゃったね…」
僕に言うとも独り言のようにも母が言った。
小さく曖昧に相槌を打つと、母はそれから何も言わずに深く息を吐いた。
「でも…」
「………」
言いかけた僕の言葉を待つように母は黙って耳を傾けているのが分かる。
「別に嫌じゃないよ。」
「………そう」
「うん、嫌ではない」
「そうね、私も嫌じゃないかも」
そう言って母は初めて小さく笑顔を見せて笑った。
今までそんな風に一度も見せた事のない母の柔和で女らしい表情を見て、その時初めて僕の胸に甘酸っぱいような感情を覚えた。
もう雰囲気は親子に戻りかけていたというのに、何となく惜しいような気がして、僕は母の肩を引き寄せながら唇を近づけた。
拒まれるような気もしたが、少し間があってから唇を重ねてくる。
互いの体を弄りあいながら、何度も唇を重ね合わせる。
そしてごく自然な事のように母を組み敷くと、再び母と肉体を繋がらせる。
肉欲と親子の情愛が混じり合う、近親相姦特有のセックスの酸味がしそうなほど腐敗した甘さ。
やがて近づいてきた僕の限界に母は気づいたようだったけれど、さっきと違い母は何も言わずに僕の首に腕を巻き付けてくる。
母に良いのか、と小さく尋ねると母は顔を赤くしながら頷いた。
そのまま母の胎内に精を吐き出してしまったが、さっきと違って子宮に吸い込まれるような引き込まれる感触がする。
顔を上気させた母が僕を妖しく見上げてきた。
しかしその瞳にははどこか虚ろな影があった。
多分僕も同じ目をしているだろう。
同じ血が流れているのだから。
その事を頭で思うと同時に不意に寒気にも似た感覚に襲われる。。
「っ………」
声にならない声が母の喉の奥から漏れた。
何の予兆も無く僕が射精してしまっていたからだ。
突き飛ばすように僕の体を押しのけると、一人母は先に浴室に姿を消してしまった。
その態度に僕は母がまだ妊娠することの出来る体だという事を思い出す。
すぐに戻ってくるかと思った母はそのまましばらく部屋に戻らなかった。
母は今どんな顔をしているんだろう。
何を考えているんだろう。
そんな事を考えながらベッドの上に寝転がると、天井を見上げた。
さっきまで抱き締めていた母の肉体の感触が今も暖かく残っている。
母が浴室から出て来たのは休憩がもう終わりかけの頃だった。
長い時間をかけて化粧を直した母はさっさと服を着始めるので、少し遅れて僕も起き上がり帰り支度を始める。
壁にかかっている時計の針はちょうど午後9時を回ったばかりだった。
(完)
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