連載「ちょっと綺麗で優しい僕の母さんが浮気してた件」第八話「ケースケの笑顔」
- 2019/08/03
- 00:00
8月に入った途端、急激に暑い日が続きますね。
親愛なる読者の皆様も多めに水分を取り、脱水症状には十分気を付けて下さい。
ヤバいかも、と気付いた時には身動き取れませんので(経験者
点滴、めちゃ痛いですよ(経験者
では、「ちょっと綺麗で優しい僕の母さんが浮気してた件」の第八話「ケースケの笑顔」です。
ぼちぼち話を終幕に向けていきませんとね。
寝取られモノって最初(きっかけ)と経過(今の関係)で寝取られを思い知らされる過程が重要だと思うんですが、やたら強引な展開ってたまに見受けられます。
母寝取られジャンルでは最大のヒット作である漫画「たとえば母が」も帰宅途中の息子が青姦中の母親を見てしまうところから始まります。
これは極端な例としても導入部(及び寝取られの過程)を不自然なほど目撃してしまうと、「もうこれ息子に見られたい(バレたい)んじゃないか」と思ってしまって、どうもちょっと冷めてしまったりもします。
個人的に母子相姦のとっかかりにも繋がる話でして、たとえば「オナニーを見た、見られた」なんてベタなのはあまり好きじゃないんですよね。
もうちっと自然で現実にありそうな感じのが見たいんです。
とはいえ、あんまり現実的にしてしまうとホント地味~な話になってしまいますし。
読んで頂く方々に中だるみ感を覚えさせてしまうと思うので、難しい部分です。
ちなみに個人的には前フリや中だるみが長いと「焦らしやがるぜ……」と静かに拍手を送りたくなるのですがね。
余談
ここのところ徴用工に端を発して日韓関係がバタバタしてるでしょう。
このブログを始めた10年ちょっと前は韓流ブームだったんですよね。
思い付きだった「キンボム」ってハンドルネームも向こうのスターっぽい読みでいいじゃんなんて悦に入ってたのですが、ここに来てビミョーですね。
個人的に韓国映画「母なる証明」で母子相姦(描写は仄めかし程度)が描かれてたので、長幼の序が強い国なのになかなか刺激だなと感心してたので複雑な心境です。
余談2
同人作品「あの!お母さん」シリーズの新作「市民プール」が発売されました。
サークル「はいとく先生」は絵や話に味があって好きですね。
もうちっと日常パートや親子の繋がりや歴史があるとモアベターですが、こういう影のないエロエロな親子モノも楽しいですね。
「フリーハンド魂」と同系統で。
「46歳貧乳母」シリーズも楽しみに読んでます。
同人漫画で読む分にはこれくらいあっけらかんとしたのが読みやすいですね。
余談3
同人サークル「レモンケーキ」の新作「世界の終わりとひきかえに」もけっこう良かったです。
漫画の評価は絵の好みに大きく左右されるのでもうちょっと柔らかくデフォルメの効いた絵だと良いのですが、いわゆるIFモノとしてはオチまで秀逸な展開でした。
……秀逸はちょっと褒め過ぎかな?
いや、かなり良かったのは事実です。
余談4
サークル「pink―noise」の新作「ママショタイム 無人島編」もけっこう良かったです。
このサークルはほとんどの母子作品のノリがだいたい一緒なんですが、ほんわかした絵柄とお話が好きですね。
どっちかっていうとこの方が書いてるレズ母娘モノの方がちょっと切ない関係なので、あの感じで母子相姦を描いて欲しい。
昔の鬼魔あづさみたいな鉛筆で描いたようなタッチも良いですね(このたとえ何人が分かるんだろう……)。
余談が長くなりました。
それでは宜しければどうぞ。
小学校から一緒のケースケは良い友達だよ。
中谷圭祐っていうんだけどさ。
フルネームで書くとあんまり見慣れないからちょっと変な感じ。
細身で眼鏡を掛けていて見た目は明らかにオタクだけど、中身は良い奴でね。
ケースケの家は小学生の時に両親は離婚して母子家庭になったんだけどさ。
そん時にケースケは小林から中谷に苗字も変わったんだ。
住んでるとこも一軒家からアパートに引っ越してね。
呼び方はずっとケースケだから友達としてはそんなに気にならなかったけど。
でも姓が変わるっていうのは本人にとっては小さな事のはずがないよね。
慣れ親しんできた自分の名前が変わる訳だから。
でもあいつは昔からいつも僕より明るくて前向きだったよ。
親の離婚の前後はさすがに落ち込んでたけど、少し経つとそういう暗さはほとんど分からなくなったくらいでさ。
思えばケイスケの母ちゃんが年よりも老けて見えたのは、かなり苦労してた事もあったと思うんだ。
仕事をいくつも掛け持ちしているって言ってたし、住んでいるのも線路脇の築何十年にもなるアパートだったから。
錆が浮かんで茶色く焦げたような外壁を見ていると、絶対耐震工事なんてやってないだろうなって思ってたし。
ほら、ちょうど震災があった頃だから余計にそんな事を思ったんだよね。
最近ケイスケは高校を出たら調理師になるって言うようになった。
本人がなりたいというのもあるし、何より早めに実現可能そうな進路をはっきりさせて母親を安心させてあげたいんだって。
まだ高校に入ったばかりの頃からそうやってはっきりと言えるケイスケが何だか眩しかったね。
自由に生きられない葛藤や不満が無い訳じゃないと思うけどさ。
けど色んな思いを飲み込んで納得出来ているケイスケはもう大人の顔をしていたんだ。
普段はまだ一緒にゲームしたり馬鹿話したりしているけど、3年後にはもう僕とケイスケではきっと大きな差が付いている気がする。
いや、目に見えてないだけで多分もう差はあるんだろうけどさ。
僕はまだ将来なりたいものもないし、家庭環境にさえ耐えられないくらいになっているのにね。
将来なんて本当に自分に訪れるのかな?
もう間近に迫っているはずの世間さえまだ遠くて距離がよく見えないまんまだよ。
十代の後半に差し掛かったのにこんなところで立ち止まってしまってて。
皆が知ったら笑われるかな?
それとも呆れるかな?
意外とみんな似たようなものなのかな。
この頃はそんな事ばかり考えてる。
最近さ、僕の中に二人の自分が居る事を感じるんだよね。
いや、おかしくなんてなってないよ。
多分。
母親の浮気を知ってしまってから、ただ動揺してるだけの自分A。
そんな事でいつまで悩んでいるんだ、もっと自分の未来を考えろよって責めてくる自分B。
説明しても分かってもらえないかもしれないけどさ。
悩んで戸惑ってばかりいる子どもっぽい自分Aをもう一人の自分Bが嘲るように責め続けるんだ。
モロくて臆病者。
おまけに無知で鈍感。
行動力にも決断力にも欠ける。
何するでもなくいつまでもウジウジし続けているだけで、何もしない。
出来ない。
母親の浮気を知るってそういう無力感を子供に味あわせるのかもしれないけどさ。
向かい合う事も、見ないフリをする事も、逃げ出す事も出来ないんだ。
浮気した母親を責めるより自分を罵る呪いの言葉ばかりが湧いてくるんだよね。
「ニコ君が上手だからすご~く良かったよ(#^.^#)」
「三回もいっちゃったヽ(^o^)丿」
「すっごく声出ちゃって恥ずかしい(n*´ω`*n) うるさくなかった?」
「やっぱり正常位が一番好きかも。すっごく堅くて良かったよ(・∀・)ニヤニヤ」
「今日はニコ君凄かったね。おばさんバテバテ(;^_^A」
「また一緒に温泉入ろうね(*’▽’)でも顎がちょっと疲れちゃった((´∀`))ケラケラ」
「一緒にイケて嬉しかったよ。いっぱい出たね~?(〃艸〃)ムフッ」
「叫び過ぎて喉が痛いな~(* ´艸`)クスクス」
そうして悩んでるとさ、母さんからニコに送られたメールが蘇ってくるんだ。
頭の中で言葉が乱反射するみたいにさ。
パソコンの液晶画面に映った文字列が自然に母さんの声に変換されて頭の中に響いてくるんだよね。
呪いの言葉みたいに何度もリピート再生されて。
その声が頭の中で響く度に僕は自分の中の二人の存在を感じるんだよ。
何とか現実から逃れたい自分Aと、逃げ出そうとする僕を笑う自分Bと。
母さんのメールに書かれていた言葉はエロいだけじゃないんだ。
すごく図々しく、厚かましく、それでいて強かなんだ。
もうさ、分かってたよ。
明らかに母さんは若いニコとのセックスを愉しんでいるって。
そこには色んな悩みや懸念なんて一切入り込む余地がないんだ。
上手く隠してさえしまえば、不倫も構わないって。
母さんのメールの中にはそんな強さを感じたんだ。
ズルさとも呼べるかもしれないけどさ。
確かにお前は強かった。けどそれは間違った強さだった。
……っていつか見た漫画で誰かが言ってたけど、強さに正しいも間違いもないからさ。
人間力っていうのかな。
大人ってさ、大抵みんな疲れてるじゃない。
自分の可能性を諦めてしまって、退屈な毎日を生きてるだけでさ。
そんな中で母さんは何かを見出したって事かな。
平凡な主婦に埋没しないための人生のやり繰りなんだろうかね。
中年の危機ってやつの母さんなりの乗り越え方なのかも。
そんな風に思おうとしてる、最近は。
結局僕にもよく分からないよ。
言葉でなぞるように想像してるだけでさ。
でもさ、母さんのそんな一面がこの頃はケイスケの大人びた横顔と重なって見えるんだ。
外見だけじゃなくていろんな意味でちっとも似ていないはずなんだけどね。
けどすぐ近くて見ている僕の目からはね。
二人は良く似ているように思えたんだ。
何かを割り切って、大人の世界に生きてる人間に気後れしちゃうんだよね。
まだ幼稚な僕はただ戸惑い、負い目を感じて項垂れるだけでさ。
おまけに母親のエロ画像見て、オナニーばかりしている。
情けないってそんなの自分でも分かっているんだけどさ。
母親の興奮したエロい目、気持ちよさそうに感じまくってる顔、大口開けた間抜けなイキ顔、垂れかけたおっぱいにデカ尻。
ソファで顔にぶっかけられた母さん。
ベッドで潮吹いてる母さん。
お風呂の排水溝におしっこさせられてる母さん。
何発もやられたのかベッドで涎を垂らして我を失っている母さん。
誰よりよく知ってるはずなのに全く知らない姿ばかりなんだよ。
子どもの頃、夕暮れ時の公園に自分だけ取り残されたようでさ。
友達はみんな先に自分の家に帰っちゃってね。
なんだかこの頃は途方に暮れたような気持ちだよ。
今日は水曜日。
またきっと母さんがニコと会う日だった。
今朝も母さんが晩御飯の希望を聞いてきた。
遅くなるから晩の支度が出来ないからいつかの時みたいにピンポイントで買い物が済むようにね。
ウラ事情に気付いてしまえばさ。
お惣菜で晩御飯が済まされるのはいつも水曜日だってすぐ気づいたんだ。
毎週その確信が深まる日なんだ、水曜日は。
月曜日よりよっぽど憂鬱になるよ。
「なんか最近元気ないな」
朝会ったケイスケはそんな僕の顔をじっと見てた。
良い奴なんだ。
ホント。
完
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親愛なる読者の皆様も多めに水分を取り、脱水症状には十分気を付けて下さい。
ヤバいかも、と気付いた時には身動き取れませんので(経験者
点滴、めちゃ痛いですよ(経験者
では、「ちょっと綺麗で優しい僕の母さんが浮気してた件」の第八話「ケースケの笑顔」です。
ぼちぼち話を終幕に向けていきませんとね。
寝取られモノって最初(きっかけ)と経過(今の関係)で寝取られを思い知らされる過程が重要だと思うんですが、やたら強引な展開ってたまに見受けられます。
母寝取られジャンルでは最大のヒット作である漫画「たとえば母が」も帰宅途中の息子が青姦中の母親を見てしまうところから始まります。
これは極端な例としても導入部(及び寝取られの過程)を不自然なほど目撃してしまうと、「もうこれ息子に見られたい(バレたい)んじゃないか」と思ってしまって、どうもちょっと冷めてしまったりもします。
個人的に母子相姦のとっかかりにも繋がる話でして、たとえば「オナニーを見た、見られた」なんてベタなのはあまり好きじゃないんですよね。
もうちっと自然で現実にありそうな感じのが見たいんです。
とはいえ、あんまり現実的にしてしまうとホント地味~な話になってしまいますし。
読んで頂く方々に中だるみ感を覚えさせてしまうと思うので、難しい部分です。
ちなみに個人的には前フリや中だるみが長いと「焦らしやがるぜ……」と静かに拍手を送りたくなるのですがね。
余談
ここのところ徴用工に端を発して日韓関係がバタバタしてるでしょう。
このブログを始めた10年ちょっと前は韓流ブームだったんですよね。
思い付きだった「キンボム」ってハンドルネームも向こうのスターっぽい読みでいいじゃんなんて悦に入ってたのですが、ここに来てビミョーですね。
個人的に韓国映画「母なる証明」で母子相姦(描写は仄めかし程度)が描かれてたので、長幼の序が強い国なのになかなか刺激だなと感心してたので複雑な心境です。
余談2
同人作品「あの!お母さん」シリーズの新作「市民プール」が発売されました。
サークル「はいとく先生」は絵や話に味があって好きですね。
もうちっと日常パートや親子の繋がりや歴史があるとモアベターですが、こういう影のないエロエロな親子モノも楽しいですね。
「フリーハンド魂」と同系統で。
「46歳貧乳母」シリーズも楽しみに読んでます。
同人漫画で読む分にはこれくらいあっけらかんとしたのが読みやすいですね。
余談3
同人サークル「レモンケーキ」の新作「世界の終わりとひきかえに」もけっこう良かったです。
漫画の評価は絵の好みに大きく左右されるのでもうちょっと柔らかくデフォルメの効いた絵だと良いのですが、いわゆるIFモノとしてはオチまで秀逸な展開でした。
……秀逸はちょっと褒め過ぎかな?
いや、かなり良かったのは事実です。
余談4
サークル「pink―noise」の新作「ママショタイム 無人島編」もけっこう良かったです。
このサークルはほとんどの母子作品のノリがだいたい一緒なんですが、ほんわかした絵柄とお話が好きですね。
どっちかっていうとこの方が書いてるレズ母娘モノの方がちょっと切ない関係なので、あの感じで母子相姦を描いて欲しい。
昔の鬼魔あづさみたいな鉛筆で描いたようなタッチも良いですね(このたとえ何人が分かるんだろう……)。
余談が長くなりました。
それでは宜しければどうぞ。
小学校から一緒のケースケは良い友達だよ。
中谷圭祐っていうんだけどさ。
フルネームで書くとあんまり見慣れないからちょっと変な感じ。
細身で眼鏡を掛けていて見た目は明らかにオタクだけど、中身は良い奴でね。
ケースケの家は小学生の時に両親は離婚して母子家庭になったんだけどさ。
そん時にケースケは小林から中谷に苗字も変わったんだ。
住んでるとこも一軒家からアパートに引っ越してね。
呼び方はずっとケースケだから友達としてはそんなに気にならなかったけど。
でも姓が変わるっていうのは本人にとっては小さな事のはずがないよね。
慣れ親しんできた自分の名前が変わる訳だから。
でもあいつは昔からいつも僕より明るくて前向きだったよ。
親の離婚の前後はさすがに落ち込んでたけど、少し経つとそういう暗さはほとんど分からなくなったくらいでさ。
思えばケイスケの母ちゃんが年よりも老けて見えたのは、かなり苦労してた事もあったと思うんだ。
仕事をいくつも掛け持ちしているって言ってたし、住んでいるのも線路脇の築何十年にもなるアパートだったから。
錆が浮かんで茶色く焦げたような外壁を見ていると、絶対耐震工事なんてやってないだろうなって思ってたし。
ほら、ちょうど震災があった頃だから余計にそんな事を思ったんだよね。
最近ケイスケは高校を出たら調理師になるって言うようになった。
本人がなりたいというのもあるし、何より早めに実現可能そうな進路をはっきりさせて母親を安心させてあげたいんだって。
まだ高校に入ったばかりの頃からそうやってはっきりと言えるケイスケが何だか眩しかったね。
自由に生きられない葛藤や不満が無い訳じゃないと思うけどさ。
けど色んな思いを飲み込んで納得出来ているケイスケはもう大人の顔をしていたんだ。
普段はまだ一緒にゲームしたり馬鹿話したりしているけど、3年後にはもう僕とケイスケではきっと大きな差が付いている気がする。
いや、目に見えてないだけで多分もう差はあるんだろうけどさ。
僕はまだ将来なりたいものもないし、家庭環境にさえ耐えられないくらいになっているのにね。
将来なんて本当に自分に訪れるのかな?
もう間近に迫っているはずの世間さえまだ遠くて距離がよく見えないまんまだよ。
十代の後半に差し掛かったのにこんなところで立ち止まってしまってて。
皆が知ったら笑われるかな?
それとも呆れるかな?
意外とみんな似たようなものなのかな。
この頃はそんな事ばかり考えてる。
最近さ、僕の中に二人の自分が居る事を感じるんだよね。
いや、おかしくなんてなってないよ。
多分。
母親の浮気を知ってしまってから、ただ動揺してるだけの自分A。
そんな事でいつまで悩んでいるんだ、もっと自分の未来を考えろよって責めてくる自分B。
説明しても分かってもらえないかもしれないけどさ。
悩んで戸惑ってばかりいる子どもっぽい自分Aをもう一人の自分Bが嘲るように責め続けるんだ。
モロくて臆病者。
おまけに無知で鈍感。
行動力にも決断力にも欠ける。
何するでもなくいつまでもウジウジし続けているだけで、何もしない。
出来ない。
母親の浮気を知るってそういう無力感を子供に味あわせるのかもしれないけどさ。
向かい合う事も、見ないフリをする事も、逃げ出す事も出来ないんだ。
浮気した母親を責めるより自分を罵る呪いの言葉ばかりが湧いてくるんだよね。
「ニコ君が上手だからすご~く良かったよ(#^.^#)」
「三回もいっちゃったヽ(^o^)丿」
「すっごく声出ちゃって恥ずかしい(n*´ω`*n) うるさくなかった?」
「やっぱり正常位が一番好きかも。すっごく堅くて良かったよ(・∀・)ニヤニヤ」
「今日はニコ君凄かったね。おばさんバテバテ(;^_^A」
「また一緒に温泉入ろうね(*’▽’)でも顎がちょっと疲れちゃった((´∀`))ケラケラ」
「一緒にイケて嬉しかったよ。いっぱい出たね~?(〃艸〃)ムフッ」
「叫び過ぎて喉が痛いな~(* ´艸`)クスクス」
そうして悩んでるとさ、母さんからニコに送られたメールが蘇ってくるんだ。
頭の中で言葉が乱反射するみたいにさ。
パソコンの液晶画面に映った文字列が自然に母さんの声に変換されて頭の中に響いてくるんだよね。
呪いの言葉みたいに何度もリピート再生されて。
その声が頭の中で響く度に僕は自分の中の二人の存在を感じるんだよ。
何とか現実から逃れたい自分Aと、逃げ出そうとする僕を笑う自分Bと。
母さんのメールに書かれていた言葉はエロいだけじゃないんだ。
すごく図々しく、厚かましく、それでいて強かなんだ。
もうさ、分かってたよ。
明らかに母さんは若いニコとのセックスを愉しんでいるって。
そこには色んな悩みや懸念なんて一切入り込む余地がないんだ。
上手く隠してさえしまえば、不倫も構わないって。
母さんのメールの中にはそんな強さを感じたんだ。
ズルさとも呼べるかもしれないけどさ。
確かにお前は強かった。けどそれは間違った強さだった。
……っていつか見た漫画で誰かが言ってたけど、強さに正しいも間違いもないからさ。
人間力っていうのかな。
大人ってさ、大抵みんな疲れてるじゃない。
自分の可能性を諦めてしまって、退屈な毎日を生きてるだけでさ。
そんな中で母さんは何かを見出したって事かな。
平凡な主婦に埋没しないための人生のやり繰りなんだろうかね。
中年の危機ってやつの母さんなりの乗り越え方なのかも。
そんな風に思おうとしてる、最近は。
結局僕にもよく分からないよ。
言葉でなぞるように想像してるだけでさ。
でもさ、母さんのそんな一面がこの頃はケイスケの大人びた横顔と重なって見えるんだ。
外見だけじゃなくていろんな意味でちっとも似ていないはずなんだけどね。
けどすぐ近くて見ている僕の目からはね。
二人は良く似ているように思えたんだ。
何かを割り切って、大人の世界に生きてる人間に気後れしちゃうんだよね。
まだ幼稚な僕はただ戸惑い、負い目を感じて項垂れるだけでさ。
おまけに母親のエロ画像見て、オナニーばかりしている。
情けないってそんなの自分でも分かっているんだけどさ。
母親の興奮したエロい目、気持ちよさそうに感じまくってる顔、大口開けた間抜けなイキ顔、垂れかけたおっぱいにデカ尻。
ソファで顔にぶっかけられた母さん。
ベッドで潮吹いてる母さん。
お風呂の排水溝におしっこさせられてる母さん。
何発もやられたのかベッドで涎を垂らして我を失っている母さん。
誰よりよく知ってるはずなのに全く知らない姿ばかりなんだよ。
子どもの頃、夕暮れ時の公園に自分だけ取り残されたようでさ。
友達はみんな先に自分の家に帰っちゃってね。
なんだかこの頃は途方に暮れたような気持ちだよ。
今日は水曜日。
またきっと母さんがニコと会う日だった。
今朝も母さんが晩御飯の希望を聞いてきた。
遅くなるから晩の支度が出来ないからいつかの時みたいにピンポイントで買い物が済むようにね。
ウラ事情に気付いてしまえばさ。
お惣菜で晩御飯が済まされるのはいつも水曜日だってすぐ気づいたんだ。
毎週その確信が深まる日なんだ、水曜日は。
月曜日よりよっぽど憂鬱になるよ。
「なんか最近元気ないな」
朝会ったケイスケはそんな僕の顔をじっと見てた。
良い奴なんだ。
ホント。
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