飾り気のない言い回し、使いそうな単語の選び方、思考の傾向などなど……ネットで公開されている主婦の方のエッセイなんかを参考にしつつ(結局それらが一番リアルなんですね。当たり前なんですが)。
「小説家になろう」「pixiv」等にも投稿し、知名度も少しは上がっていると思うのですが、不思議と大きく増えも減りもしないのですよね。毎日のように画像アップしてた頃はもうちょっと高かったのですが、すぐに同じくらいになったし。
息子とした。
それは私にとっても随分久しぶりのことで。
何でもないことの積み重ねが、小さなきっかけになってしまったのだろう。
息子が18歳になる誕生日から半年ほど過ぎた頃、ようやく免許を取れた。
仮免で二回落ちて少し余分にかかったから当初の予定だった夏休みには間に合わなくなったけれど。
好きに運転させたら車に傷を付けられたり事故を起こすのが目に見えているから、必ず旦那か私が助手席に乗らないと貸さないようにしていた。
その事で毎週のように息子の運転の練習に付き合うようになった。
20年以上無事故の自分から見ると、まだまだ危なっかしい。
集中力に欠けているというか、少し話をしているだけで信号も見落とすから本当に怖い。
でも思春期に入ってから距離を置かれていた息子と久しぶりに話が出来るのはなんだか新鮮に感じた。
顔立ちも体形もすっかり変わっている事を実感する。
実際に18歳だからもう大人というには精神的にはまだまだ幼いけれど。
けどそんなことも意外に楽しかった。
10月のその日はまだ暑くて台風が近づいていた。
山の方から雲が流れてきて何度も雨が降ったり止んだりを短い間に繰り返している。
止めようかと思っていたら、こんな日にも練習したいと言うから仕方なく付き合った。
近隣の高速が台風で閉鎖されると帰れなくなるから下の道から少し時間をかけて回っていく。
天候もあって普段の交通量よりもずっと少ない。
隣県と行き来する国道なので本当ならもっと多いんだけれど。
想像してたよりずっと早くに着いてしまったから、たまにはゆっくり別のとこに回ろうって言いだした。
台風は遠ざかっていくからたしかにすぐ戻るよりも安全かもしれない。
昔家族とよく行った大きな公園に向かった。
まだ息子が小さい頃は旦那と三人で何度かここに連れてきたことがある。
大きな滑り台とアスレチックがあって子供を遊ばせるにはもってこいの公園だった。
雨の影響で園内は人影もまばらだけど、こんな風に息子と二人で歩いているのは何だか不思議な気がした。
若い頃旦那と二人で出かけた時にちょっと似ているから。
大学のこと、友達のこと、バイトのこと、彼女のこと。
息子は珍しくよく喋った。
いずれも前から少しは聞いていたけれど、そんなに深く聞くことは無い。
頷きながらも息子も多感な18歳の男なんだなって改めて思った。
若い彼には色々あるんだって思ったけど、大したことも言えそうになかった。
そんな青春なんて25年も前に過ぎてしまっていたから。
「〇〇ちゃんとは最近上手くいってるの?」
息子の彼女は高校の時から付き合ってて、2回くらい見かけたことがある。
髪こそ黒いけど、今風の細い眉と派手なマスカラしてて。
最初に会った時に会釈も出来ないから正直言って内心(あ~あ、こんなのと)って思った。
うっとうしがられるから息子には言ってないけれど。
息子は気まずそうに相槌を打った。
何となくそうじゃないかと思っていたし、あんなのと長続きするわけないと思ってたから(案の定!)だった。
「いいじゃない。他にいい子はいくらでもいるんだからね」
そう言っても息子は何だか答えにくそう。
もしかしたらもう別れたのかと思って、それ以上は細かく聞かなくなった。
「ま、若いんだからすぐ見つかるって!」
そう言って息子の肩を叩くと力なさげに笑った。
(あ、フラれた方かも)
そう思うと、何だかもどかしいような気になった。
(あんな女、さっさとこっちから振ってやれば良かったのに)
それから何となく気まずい雰囲気になってしまった。
不甲斐ない息子だけど可哀想なのもたしかにあって。
公園はすれ違う人もほとんどいなくて、子供の声もしなくて静かだった。
さっきまで饒舌だった息子も少し元気が無くなっている。
思い出させてしまったかな。
私がこんな事したって仕方ないんだろうけど。
そう思いながら私は息子の左手をぎゅっと握った。
まだ小さかった時以来……10何年振りだからもう私よりも掌は大きい。
一瞬驚いたような顔をしたけれど、ふりほどかれなかった。
放せよって言うかなって覚悟はしてたんだけど。
そのまま歩き出したけれど、やっぱり何だか気まずかった。
「そんな落ち込まなくていいよ、他にいるんだから」
それ以外に思い浮かばなかったから、もう一度言った。
「うん……あぁ、そうかな」
小声で曖昧に応える息子が何だか若々しく見えた。
たぶんずっと悩んだり傷ついたりしてたんだろう。
何があったかは知らないけれど。
車に戻っても車を発進させようとせず、ハンドルに手を置いて前を見たまま言った。
「何かさ、ちょっと疲れたんだ」
「そう」
「免許もあいつとどっか行くためだったのにって」
「……ふ~ん」
泣くかなって思ったけれど、泣かなかった。
仕方が無いので慰めてやろうと頭を撫でると、存外受け入れている。
運転席の息子の顔をじっと眺めていた。
表情は真剣そのものだけど、ちょっと途方に暮れたように遠くを見てる。
私がじっと見つめている事に息子は気づいたのだろう。
ちょっとバツが悪そうに私に微笑んだ。
もう一度私は息子の頬に掌を当てて撫でる。
何だか大きな犬みたいだと思いながら。
息子が私に顔を近づけてきた。
(あ)
少し固めの唇の感触だった。
キス、された。
息子に。
唇を離すと息子は私の目も見られないほど照れている。
その様子を見ていると私まで恥ずかしくなって何も言えなくなってしまった。
「あ、いや……その……」
あ、いや……じゃなくって。
何か言い訳めいたことを言いそうだった。
別にこんな時に何も言わなくていいだろうに。
「これで気が済んだ?」
そう聞いても息子はまだ恥ずかしそうだった。
数十秒待ってから再び息子は口を開いた。
「もう一回してもいい?」
そう言うので、今度は仕方なく目を閉じてやった。
再び息子の唇が押し当てられるので、今度は軽く上唇を吸ってやる。
ずっと昔彼が小さい時にした時みたいに。
すると息子の吐息が漏れたあと、唇が離れていった。
どんな顔するかと思っていたけれど、やけに真面目な顔をしていた。
そのまま自然に三回目のキスをした。
息子から舌が入れられてきたので、舌を絡めて応えてる。
何でそうしたのかもう自分でも分からなかった。
互いの舌が巻き付きあうと小さく音を立てた。
私と息子の唇の間の辺りで互いの舌を何度も舐めあっていると、どうしようもないほど息が苦しくなって呼吸が乱れてくる。
一度唇を離してみたけれど、すぐに息子から続きを求められた。
もう相手が息子だとか彼が私を彼女と重ねて見てるとかそんな事はもう考えられなかった。
私は息子の顔を両手で引き寄せて再び深く唇を重ねて息子の口の中に舌を入れていった。
はぁはぁと息子の荒い呼吸が鼻に匂いながら、お互いの唾液を舐めあう。
歯が当たりそうなほど深く唇を押し当てて何度も舌を絡ませあった。
こんな事するのはいつ以来だろう……そんな事を何度目かのキスから離れた後で思った。
少し平静を取り戻したかと思いきや、息子は私の上に圧し掛かってきた。
狭い助手席だし、誰かに見られたら……と思いながらも再びキスをしてくる彼を押しのけることは出来なかった。
息子の腕がシャツの中に入れられてブラに掛かっていた。
息子の握力と体温が直接胸に伝わってくる。
彼の指が刺激を繰り返してきたので、乳首がピリピリと立ち上がってくるのが自分でも分かる。
息子の手が私のベルトに掛かって脱がし始めるのが分かった。
その間も私は何度も息子とキスを繰り返している。
軽く太ももを上げると息子が引っ張って穿いていたズボンが助手席の足元に落ちた。
後でもう一度穿くんだから靴で踏まないようにつま先で押しやる。
しばし息子の指先は下着越しに触れてきたけれど、間もなくショーツに掛けられた。
息子の掌が下着の中に、入ってきた。
正確には指で探る様に辿るうちに、何かの拍子で指先が私の中にちょっとだけ入りこんだ。
(あっ!)
しばらくぶりの感覚だったから、思わず体が強張ってしまう。
入ったというよりも敏感になっているから触れられただけで痛いくらいに響いてくる。
息子もちっとも余裕なんかないみたいだ。
指が何度も私の中に出入りし始めると、痛痒い様な感覚から徐々に温まってくるのが分かる。
瓶入りのイクラが箸で潰されてくみたいにぐちゅぐちゅと粒が泡立って音を立てて弾けていく。
奥の瓶底から溢れ染み出てくる温かい液が尻まで流れ落ちてくる。
その時突然ビリっとショーツがイヤな音を立てた。
一瞬息子も私も動きを止めた後、顔を見合わせる。
あまりにも息子が激しく指で弄るから下がり切ってない下着を足で引き裂いてしまったから。
「あ~あ……もう」
そう言うと、ようやく息子も苦笑いを浮かべた。
覆いかぶさってきた息子がズボンに手を掛けて脱ぎ下ろす。
もう最後までする気みたいだ。
身長差から上手くすることは難しかったけど、息子が私の両足の間に入ってきた時に初めて(このまましてもいいのか)って思った。
息子の熱くなったアレが腹に触れると迷いが出て息子を突き放そうと腕を伸ばす。
ヌルっと先端だけ中に入ってくる感触がした。
「ちょっと駄目。抜きなさいってば」
妊娠してしまうって恐れが急に湧いてくる。
押し返そうとする私に反して息子はあくまで入れようとして押し付けてきた。
けど余裕の無さは本当だったのだろう。
突然息子が苦しそうな顔を浮かべるとアレから勢いよく飛び出した。
(えっ、もう……出したの?)
息子の熱い体液が太ももに火傷しそうなほど飛び散っていた。
帰り道はほとんど会話が無かった。
何て言っていいのか分からなかったし、それは息子も同じだったろう。
(中途半端な形だったとはいえ、最後まで息子としてしまった)
それは私の中に強くいつまでも残り続けた。
家に戻って旦那と顔を合わせても目を合わせられなかった。
今後、息子への態度を決めかねていてどうしたらいいのか分からない。
先にキスをしてきたのは息子だったけど、それは言い訳にならないし。
何よりこれからのこと、息子と秘密が出来てしまったこと。
様々なことが浮かんでは消えてその日はよく眠れなかった。
完
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