短編「耳鳴り」
- 2020/04/03
- 00:01
ども。
今回は久しぶりの短編です。
これまた「2999年のゲームキッズ」ぽくしたかったんですよね。
あるいはふた昔前の「世にも奇妙な物語」的な。
同人作品「母さんじゃなきゃダメなんだっ!」が完結しましたね。
父親の存在が母子相姦のもつれの中でそれなりに絡んできたのが新鮮に思えました。
もうちょっと母親が若く見えなきゃ良いのになぁ……とも最後まで思ったり。
でもDMMでは大ヒットしているみたいだし、みんなは若く見えすぎる母親って気にならないんですかね。どうも好みの問題なのですが、私はこの作品にの絵のタッチにあまり味を感じないんですね。
(と言いつつもDL作品は全て購入し、紙単行本まで買ってますが)
個人的にはサークルkazumの「母親」シリーズとかほよよ堂「こら!あんた」シリーズ、ヒレカツの母シリーズや猫七祭、NTロボ、maple号、買い食い浪漫、もんもん倶楽部などのようにそれっぽい年齢層に見える味のある母が好きなんですね。
今月末にはフリーハンド魂の新刊も出ますし、それを楽しみにしてます。
はいとく先生の新刊も近いけど、こっちは多分母モノは入ってないだろうなぁ(こないだのも無かったし)。
それでは宜しければどうぞ。
ある晩、声が聞こえてきた。
壁越しなのか、床を伝ってかは分からない。
石油ストーブの吐く温風に混じってかすかに耳に届く。
漫然とスマホを眺めていた僕はふと顔を上げて部屋を見渡した。
どこだ?
改めて耳を立ててみると遠くからカンカンと踏切の警笛が鳴っている。
近づいてくる電車がそう聞こえた……って事は無いと思う。
かすかに聞こえたあれは人間の声のようだった。
また錯覚だろうか。
何も鳴ってないはずなのに、音が聞こえる。
それが耳鳴りという現象だ。
考えてみればおかしな話だ。
昔から音のない夢をたまに見る。
体育館とかトイレとかどこかに閉じ込められていて、すぐに出ないと恐ろしい目に遭うという事だけが分かっている。
なのに普通あるべき場所に出口が無い。
早く出ないといけなくて、ひどく焦っているのに何も聞こえてこない。
じきに風景が大きく歪んだと思ったら色んな音が耳に飛び込んできて、ようやく恐ろしい夢から覚められたんだと実感する。
自分の心臓の音が響いてきて、あぁ、さっきは自分の鼓動さえ聞こえなかった事を実感した。
少し神経過敏なんだって自覚している。
些細な声がやけに気に障ったり、逆に無音が怖かったり。
しかし、さっきの音は確かに誰かの声だった。
すっかり別の音に押しつぶされてしまったけれど。
けれどずっと思っていた事がある。
もしさっきの声が僕の頭の中で鳴っている音じゃなくて、本当に誰かの囁きなのだとしたら。
たとえば超能力者みたいに、誰かの心の声が僕だけに聞こえているとか。
ラジオみたいに誰かの声を突然「受信」しているとか。
……妄想に過ぎないって分かってるけれど。
でも、もしもそれが本当なのだとしたら。
僕の妄想じゃなくて、それが真実なのだとしたら。
こんな事を言ってたら、いよいよヤバい奴だって思われるかもしれない。
けれど僕はその可能性について考え続けている。
もし、これが本当の声だとしたら誰が僕に呼び掛けているんだろう。
相変わらず時折声が聞こえてくる。
やっぱり耳鳴りのせいかもしれないけど。
たまに声が聞こえてくると意識して、耳を澄ませた。
自分の中に不可知のラジオがあるのだと信じて、集中する。
そんな時に限って、テレビや誰かの話す声や周囲の雑音が混じってきて肝心の声が途絶えてしまった。
車のエンジン、足音、冷蔵庫のモーター音、風雨、家の軋み。
どこでも普段は意識もしていない日常のノイズにつつまれている。
逆に一切の無音になるなんてほとんど不可能だった。
くそ。
それなのに意識しない時ほどかえってあの声が耳に届くんだ。
「あれ?聞こえてくる」
そう思った次の瞬間にはもう何も聞こえない。
やっぱり耳鳴りに振り回されているだけなんだろうか。
久しぶりに音のない夢を見た。
白く、広い部屋。
どこかは分からない。
中央にはベッドが一つ、高い窓からは陽射しが眩しい。
この夢はいつもそうだ。
届かない高さに窓があって、出口が無い。
誰もいない。
じきに恐ろしい何かがやってくる予感だけが。
音が戻っていた。
目を覚ますと、薄暗い。
ギシッ。
木製ベッドが歪んだ。
ハッとして横を見ると母が寝そべっていた。
全裸で、僕の匂いをさせたまま。
軽く肩に触れても反応が無い。
深く眠っているようだ。
ずっと聞こえていた声は母のものだったのだろうか。
もう耳鳴りは聞こえない。
完
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今回は久しぶりの短編です。
これまた「2999年のゲームキッズ」ぽくしたかったんですよね。
あるいはふた昔前の「世にも奇妙な物語」的な。
同人作品「母さんじゃなきゃダメなんだっ!」が完結しましたね。
父親の存在が母子相姦のもつれの中でそれなりに絡んできたのが新鮮に思えました。
もうちょっと母親が若く見えなきゃ良いのになぁ……とも最後まで思ったり。
でもDMMでは大ヒットしているみたいだし、みんなは若く見えすぎる母親って気にならないんですかね。どうも好みの問題なのですが、私はこの作品にの絵のタッチにあまり味を感じないんですね。
(と言いつつもDL作品は全て購入し、紙単行本まで買ってますが)
個人的にはサークルkazumの「母親」シリーズとかほよよ堂「こら!あんた」シリーズ、ヒレカツの母シリーズや猫七祭、NTロボ、maple号、買い食い浪漫、もんもん倶楽部などのようにそれっぽい年齢層に見える味のある母が好きなんですね。
今月末にはフリーハンド魂の新刊も出ますし、それを楽しみにしてます。
はいとく先生の新刊も近いけど、こっちは多分母モノは入ってないだろうなぁ(こないだのも無かったし)。
それでは宜しければどうぞ。
ある晩、声が聞こえてきた。
壁越しなのか、床を伝ってかは分からない。
石油ストーブの吐く温風に混じってかすかに耳に届く。
漫然とスマホを眺めていた僕はふと顔を上げて部屋を見渡した。
どこだ?
改めて耳を立ててみると遠くからカンカンと踏切の警笛が鳴っている。
近づいてくる電車がそう聞こえた……って事は無いと思う。
かすかに聞こえたあれは人間の声のようだった。
また錯覚だろうか。
何も鳴ってないはずなのに、音が聞こえる。
それが耳鳴りという現象だ。
考えてみればおかしな話だ。
昔から音のない夢をたまに見る。
体育館とかトイレとかどこかに閉じ込められていて、すぐに出ないと恐ろしい目に遭うという事だけが分かっている。
なのに普通あるべき場所に出口が無い。
早く出ないといけなくて、ひどく焦っているのに何も聞こえてこない。
じきに風景が大きく歪んだと思ったら色んな音が耳に飛び込んできて、ようやく恐ろしい夢から覚められたんだと実感する。
自分の心臓の音が響いてきて、あぁ、さっきは自分の鼓動さえ聞こえなかった事を実感した。
少し神経過敏なんだって自覚している。
些細な声がやけに気に障ったり、逆に無音が怖かったり。
しかし、さっきの音は確かに誰かの声だった。
すっかり別の音に押しつぶされてしまったけれど。
けれどずっと思っていた事がある。
もしさっきの声が僕の頭の中で鳴っている音じゃなくて、本当に誰かの囁きなのだとしたら。
たとえば超能力者みたいに、誰かの心の声が僕だけに聞こえているとか。
ラジオみたいに誰かの声を突然「受信」しているとか。
……妄想に過ぎないって分かってるけれど。
でも、もしもそれが本当なのだとしたら。
僕の妄想じゃなくて、それが真実なのだとしたら。
こんな事を言ってたら、いよいよヤバい奴だって思われるかもしれない。
けれど僕はその可能性について考え続けている。
もし、これが本当の声だとしたら誰が僕に呼び掛けているんだろう。
相変わらず時折声が聞こえてくる。
やっぱり耳鳴りのせいかもしれないけど。
たまに声が聞こえてくると意識して、耳を澄ませた。
自分の中に不可知のラジオがあるのだと信じて、集中する。
そんな時に限って、テレビや誰かの話す声や周囲の雑音が混じってきて肝心の声が途絶えてしまった。
車のエンジン、足音、冷蔵庫のモーター音、風雨、家の軋み。
どこでも普段は意識もしていない日常のノイズにつつまれている。
逆に一切の無音になるなんてほとんど不可能だった。
くそ。
それなのに意識しない時ほどかえってあの声が耳に届くんだ。
「あれ?聞こえてくる」
そう思った次の瞬間にはもう何も聞こえない。
やっぱり耳鳴りに振り回されているだけなんだろうか。
久しぶりに音のない夢を見た。
白く、広い部屋。
どこかは分からない。
中央にはベッドが一つ、高い窓からは陽射しが眩しい。
この夢はいつもそうだ。
届かない高さに窓があって、出口が無い。
誰もいない。
じきに恐ろしい何かがやってくる予感だけが。
音が戻っていた。
目を覚ますと、薄暗い。
ギシッ。
木製ベッドが歪んだ。
ハッとして横を見ると母が寝そべっていた。
全裸で、僕の匂いをさせたまま。
軽く肩に触れても反応が無い。
深く眠っているようだ。
ずっと聞こえていた声は母のものだったのだろうか。
もう耳鳴りは聞こえない。
完
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- カテゴリ:母子相姦小説 短編
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