近所に大きめのスクラップヤードがある。
自転車や廃車が高く積み上げられていてスペースはちょっとした幼稚園くらいかな。
従業員は10人そこそこだ。
しかもアジア系やら黒人やら半分以上が多分外国人らしい。
早朝にはその辺から自転車漕いで通勤しているのをよく見かける。
こういう外国人労働者で回ってるような会社は就労ビザで人間の入れ替えが激しいはずだけど、昔から見てても正直働いている人間が代わっているか分からないね。
もっともこういう会社は地元で増えてきたよ。
スクラップヤードだけじゃなく、製造や運送とか介護とかキツめの職場には外国人労働者は欠かせないから。
元々たくさんいた日雇い労働者らは年を取って働けなくなり、今は生活保護ばかり。
そういう人らがまとまって入ってる長屋が今でもあちこちにある。
大昔の劇画漫画に出てきたような引き戸で開ける昔ながらの長屋ね。
ちょっとした時代劇みたいな光景だけど2020年に、だよ。
若者も水準以上の能力や学歴があればみんな出て行った。
そこそこ若くて残ってるのはたいてい落ちこぼればっかり。
社長と従業員数名なんてちっぽけな零細企業で何とか働いている
あんまり言いたくないけど、俺もそうだ。
勤めている会社に外国人はいないけど、隣にある工場にはたくさんいる。
休憩所でたむろしている集団を見ると、ここはどこなんだって錯覚に陥るよ。
まあ見慣れればなんてことは無いよ。
たまに見かけると会釈してくれるしさ。
外国人労働者が多いとこは規律のためか、毎日就業の時に近所にも聞こえる大きさのサイレンが鳴り響く。
午前8時くらいかな。
それでクレーンやトラックのエンジン音が聞こえてきて、この町が動き始めたって分かる。
今じゃ除夜の鐘も騒音だってクレームが入る時代だけど、このサイレンは生活の一部に溶け込んでいる事もあって苦情が出る事もないね。
俺の職場は変則的で週休二日だけど水、木が休みなんだ。
他の平日や土日は他の色んな会社に行って電気工事やその準備を担当してる。
勤務時間も作業が終わればって感じでまちまちでさ。
たまにえらく早く終わって、午後には解散したりする。
こうやって言うと気楽に働けて羨ましがられるかもしれないけど、手取りは10万から12万そこそこくらいだけどね。
自営業の規模だからさ。
社長も70近くてバリバリやる気も全然ないし。
未来に何の希望も無いね。
休みの日にやる事もやりたい事も無いしさ。
でも寝てようとしても朝のサイレンで起こされちゃうんだよね。
8時になるとサイレンの甲高い振動音が部屋の壁や窓を貫通して入ってくる。
そしたら布団でゴロゴロしてまどろんでいた意識から目覚めさせられるんだ。
あ~、うるせぇなと思うけど、1分間は鳴りっぱなしだからその間に目が冴えてしまって。
チッと舌打ちをして立ち上がる。
おぼつかない足取りでトイレに向かい、帰ってくる途中で冷蔵庫の牛乳を一口、食パンも齧る。
だいたい肩か腰か、あるいは両方が痛い。
今は実家で両親と暮らしてる。
大学出て何年かは都市で働いてたけど、この町に戻る時に一緒に実家に引っ越した。
それっきりずっと。
30過ぎてあんな給料だからさ。
一人暮らしなんてしたら何も買えなくなるし、貯金なんてとてもとても。
最近はこの家でいつか俺も孤独死するのかな、なんて思う。
今はまだ若いけどいつか両親も死んでしまうし、そしたら次は俺だ。
親父は定年退職してから近所の自治体の老人福祉施設で事務方をやっている。
昔は県の中枢で働いていたからよく言えば天下りだけど、定年退職したおとっつあんのやる仕事としちゃ悪くない条件だろう。
身体もそんなにきつくないし、俺より給料も良いみたいだし。
もっともパソコンも使えないから職場じゃ肩身狭そうだけどね。
水、木の休みの内で親父も水曜日は休みだから木曜日だけは母親と二人だけなんだ。
これもあんまり言いたくないけど、俺は母親と近親相姦してる。
実家に戻ってすぐ位の頃かな。
親父が居ない時を狙って、えいやって頼んだんだ。
情けないと思う?
でも何を今さらって話だからさ。
俺の仕事、給料、日常、これからの未来。
どれを取っても立派なものなんてないよ。
なんていうかどうしようもない屈折感とかがあって、そういうのを母が見てられなかったんじゃないかな。
木曜日の午前から午後にかけて、一回ずつ。
それが母親との関係を結ぶペースだった。
最近俺もちょっと年取ってきたから性欲が衰えてきた気もする。
週に一日母親とセックスするくらいがちょうどいいっていうのかな。
実家に戻ってきたばかりの頃はまだ50歳だった母も還暦近くなってきて、最近はちょっとしんどそうだ。
あんま無理させちゃいけないなんて馬鹿みたいなことを思って、最近はセックスの後で母親の肩を揉んだりしてやってる。
お互い素っ裸のまんまね。
もちろんそんな風にしててもついさっきまで親子で体を交えていたんだけど、そうなってしまうとただの家族に戻ってしまう。
もう閉経しているから中出ししてて母の膣からは俺の精液がドロドロ流れてるんだけどさ。
日常と近親相姦が上手く共存しているっていうのかな。
分かんないけどさ。
セックス自体はお互いに嫌いじゃない。
母も年齢の割にはよく濡れるし、毎回ちゃんと絶頂させてる。
でも体力がしんどいから最近はもっぱらオーラルで終わらせるのが多いかな。
挿入して俺だけ射精するまでしたら、後は母にクンニか手マンで絶頂させる。
射精後の冷めかけた時に必死に母親をいかせようとしていると、俺は何をやっているんだろうってふと思う時もある。
でも止めようとはまだ思えない。
もしこんな事でもしなくなったら、俺は一体何のために生きているのか分からなくなってしまう気もして。
男として生物として、やっぱり女と子作りしたいって気持ちをそうして発散させないと本当に死んでしまいそうだった。
近所のスクラップヤードのサイレンは夕暮れ時にも鳴らされる。
午後4時半。
帰り支度を始めろよという合図だ。
いつもそのサイレンが終わりを告げるように俺と母の行為も後片付けに入る。
ティッシュを片付けて汚れたタオルをまとめて、脱ぎ散らかしたままの衣服や布団を整えて。
もう少しすれば近所の労働者たちが帰宅の途につくだろう。
母と一緒に昨夜の温くなった残り湯で汗を流す。
窓からはどこの国の言葉かも分からない会話が聞こえてきた。
さっきも言ったけど、お互いセックスは嫌いじゃない。
声を潜めてもう一度母を抱く。
俺と母は昔からこんな風になる予感があった訳じゃない。
どこにでもいるただの親子。
ホントそれまで予兆も何もなかったと思う。
裸の母の胸に飛び込んで乳首を吸った時、母は薄っすらと微笑んでいた。
半開きの唇とその笑みは温かく優しかった。
(気にすることはないよ)
そんな風に言われたようにも思えたから、それ以上何も言えなかった。
母とそう言う関係になってからちょっとした仕草や態度が今までの母とは変化して、印象的に映る。
俺の方の変化かもしれない。
そして母も何となく自分に対する態度が少し変わったようにも思えた。
(向こうも少しは意識してるのかな)
そんな風にも思う。
これだけ何年も関係を続けてきたけど、母と唇を重ねるのはいつも何だか気恥ずかしい。
風呂場での母はこの日最後の行為を惜しむように積極的で自ら両足を開いて立ったまま俺を受け入れる体勢になる。
身を寄せてくる母が愛しく思え、つよく抱きしめながら下半身をより押し広げるように膣内に入り込んでいく。
押し広げるような感触で膣道に埋もれていくと、いつも深い感慨が湧いてきた。
これが女に受け入れてもらえる喜びなのかと思い、その相手が実の母親であることをなおのこと感謝した。
遠くない未来、終わってしまう関係。
きっと先に死んでしまう母。
夕暮れの逢魔時。
このまま死んでもいいとさえ思う。
そんな気持ちを抱えて、俺は母の用済みになった子宮に精子を送り込む。
排卵しなくなった女を抱く不毛さもその時の俺には関係のない事だった。
無為な俺の人生の中でただ一つの生きている理由そのものだから。
明日からまた仕事が始まる。
翌週の母とのセックスを夢見て、また明日から職場に戻る。
俺のことを笑えるか?
完
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