KAYさん新作翻訳小説「A.I. Mom 前編」
- 2023/05/07
- 22:59
昨年末にお預かりしていたkayさんの新作翻訳小説「A.I. Mom 」。
前・中・後編と三つに分けて掲載させていただきます。
頂いた時点で「母子相姦風味SF」という事で、少し掲載に躊躇いもあったのも事実ですが
最終的に私もこの作品に影響を受けてSF母子相姦を描きたい気持ちになりました。
個人的にはSFといえばディストピアとバッドエンドがセットというくらいに固定観念があり、もっと暗い話になると思ってたので純愛に着地したのは少し意外でした。
それではどうぞ!
前・中・後編と三つに分けて掲載させていただきます。
頂いた時点で「母子相姦風味SF」という事で、少し掲載に躊躇いもあったのも事実ですが
最終的に私もこの作品に影響を受けてSF母子相姦を描きたい気持ちになりました。
個人的にはSFといえばディストピアとバッドエンドがセットというくらいに固定観念があり、もっと暗い話になると思ってたので純愛に着地したのは少し意外でした。
それではどうぞ!
A.I. Mom 前編
https://www.literotica.com/s/a-i-mom
午後三時、トニー・パーソンズは研究室で彼にとっては16番目の最新モデルを組み立てていた。
彼が工科大学を卒業して既に四年、彼はその間AI(人口知能型アンドロイド)の研究に打ち込んできたのである。
そしてトニーが26歳を迎えた今年、彼は遂にこの惑星上でもっとも高性能なAIを、密かに独力で作り上げること
に成功していたのだった。
「マスター(御主人様)、貴方の家の正門前に人が立っています」
「誰も訪ねて来る予定はなかったはずだがな、誰かわかるかい?」
「マスターのお母様のようですね」
「ママだって!?」
「イエス、マスター」
「ちいっ!キャロル、今すぐナンバー10にナンバー14を片付けさせろ、それからママを出迎えさせてくれ」
「了解、ナンバー10に連絡完了」
「ありがとうキャロル。僕らはすぐ家に戻らねばならない。なぜママがやってきたのかを知る必要がある」
「了解です」
「全くこいつはメッチャファックな悪夢だぜ」
「非論理的です。マスターは現在睡眠状態にありません」
「キャロール、AIの習熟が足らないな。こいつは比喩表現てやつだよ、言語データにアクセスしてみろ」
「アクセス、了知完了。ですがマスター、母親が息子の家を訪ねてきたことが、なぜメッチャファックな悪夢に
該当してしまうのかがわかりませんが」
「ママが自分にそっくりなAIを見てしまった日には、ママの心の座り心地は最悪だろうってことさ」
「心の座り心地…それも比喩表現の一種なのでしょうか?」
「正解だ。近親相姦のデータにアクセスしてみろ。もっと悪夢や座り心地の意味がわかるだろうさ」
「しかしナンバー14はAIに過ぎません。マスターとナンバー14の間に血の繋がりも当然ありません。よってそれ
は近親相姦の定義には当てはまりません」
「それはどうかな? まずはともあれママの姿を再確認するとしようか」
「お母様は大きな荷物を三つ持ってきています。どうやらマスターの家に長期滞在をするつもりのようですね」
「そうとは限らない。ママは食料品店に行く時も大きなスーツケースを二つ用意するような女性だ」
「そのたとえは現在のお母様の状況に全くあてはまりません、一番予想されるケースはやはり長期滞…」」
「冗談だよ、キャロル」
「了解しました」
キャロル、それはトニーが作り上げた15番目のAIであり、当然ながら最新型でもっとも高度なAIである。
にもかかわらず本質的に彼女はいまだ人間的行動につき不慣れなままであった、要は人間初心者だ。
彼女の姿は洗練された優美な人間の女性そのものであり、その動作も無駄なものがない完璧さを保つ。
それにも関わらず彼女が人間初心者のままであったのは、彼女の周囲に存在する人間がトニーのみであったため
である。トニーだけでは言語ベースの蓄積には足らず、ちょっと気の利いた言い回しやジョークを理解すること
はできず、言葉を文字通り受け止めることしかできないのであった。
例えば彼女がトニーの「フライング・ファック(クソッタレの意味)」なるスラングを聞きつけたならば「マス
ターは空中でセックスをなさりたいのですか、では飛行機を手配致します」という反応が返ってしまうわけだ。
トニーが開発した15体のAIは全てが最初は赤ん坊のような無垢な状態から、驚くべきペースで人間的行動・言動
を学習した。それは最新型になるほど人間への習熟度を早めた。
そのもっとも高度なAIを持つキャロルにして、まだこのレベルの段階にあるわけである。
もっともキャロルが起動してからまだ一ヶ月しか経ってはいない。よってそれも無理からぬ事なのだ。
キャロルはジェーン・シーモアなる往年の美人女優をモデルに作られた。
ジェーンの全盛期の身長は165センチ、体重は55キロだったと聞く。やや小ぶりの胸のスタイル抜群の女性だ。
体重はともかくその美女をコピーした姿である以上、キャロルもまたスリムな美女であるのは当然である。
ジェーンの20代の頃のブロマイドそのものの、肩までかかった美しい茶髪・茶色の瞳・美貌がそこにあった。
余りに無駄がないという欠点?を除けば、キャロルの動作は人間そのものであった。
おそらく誰もがそうと言われるまでは、キャロルが人造人間であることには気が付かないだろう。
さらに特筆すべき特色として、キャロルが"女性"としても十分に機能するというものがあった。
彼女の口・膣・直腸内は生身の女性ではありえないほど、男性を喜ばせるために最適に強化されていた。
キャロルとセックスをした男性は誰もが彼女の虜となるだろう。
当然ながらキャロルの女性機能をテストしたのはトニー自身である。
それは十二分に彼に官能と感動と堪能を与えてくれたが、唯一の欠点は"味"であった。
トニーはキャロルの愛液の質感とタイミング、最高の絶頂値に達した時の大量放出のそれを完璧に調整したのだ
が、なかなか本物の女性の味わいが作り出せずにいたのである。
その代わりキャロルの愛液は基本薄味でありながらも、トニーが指示を出せばヴァニラ・ミント・チェリーなど
様々なフレバーのそれを分泌させることが可能となっている。トニーは今もその改良に余念がない。
そしてトニーとその美貌の助手は研究所を出て、駐車場に向かい愛車に乗り込んだ。
運転手はキャロルである。AIである以上彼女は優秀なドライバーでもあった。
二人はまもなく自宅に到着。二人が呼び鈴を押す前に、玄関のドアは今また一人の美女によって開かれた。
「お帰りなさいませ、マスター」
これはトニーの10番目の創造物であるソーニャである。
「ありがとうソーニャ、ママはどこだい?」
「ゲストルームまで案内致しました。今は fresh になっている(くつろいでいる)最中です」
「ではここに来たときはOLD(古い)だったわけですね、女性が短時間で若返る事が可能とは知りませんでした」
キャロルの言葉にやや驚いてトニーは彼女を見つめた。
「マスター、ユーモアの一種です」
「なかなかいい。だけど cigar (葉巻のこと、ここではご褒美という意味のスラング)はあげられないな」
「喫煙ははなはだ不健康な趣味です」
ソーニャとキャロルは声を揃えてそう言った。
「ハハ、そうだね。ソーニャ、ナンバー14はどこに?」
「彼女は現在コートのクローゼットの中に収納中、睡眠モードにあります」
「今夜ママが眠ったらプレイルームに彼女を移動させてくれ。ママにナンバー14の存在を知られたくないんだ」
「かしこまりました」
「そういや君を見てママはどんな反応をしてた?」
「かなり驚かれたご様子でした」
「ん? 君がAIであるとママは気づいたってことか?」
「そうは思いません、マスター」
「じゃあママは何に驚いたんだ?」
「私はその時浴室で自分を洗浄中でした。そこにお母様が到着なさったので、全裸のままでドアを開きお母様を
出迎えたのです」
「………ああ、そりゃ驚いただろうなあ…」
「ハイ、マスターの言い方を借りれば、メッチャ驚いていらっしゃいました」
「当然、君がなぜ裸なのかを聞かれたんだろう?」
「いいえ、お母様は私をマスターが呼んだ娼婦なのかと聞いてこられました」
「なんて答えたんだ?」
「事実をです。私は娼婦ではないが女性としての機能は備わっていると答えました」
「クソッタレ!」
思わずトニーはそう毒づいてしまった。
「マスター、私に"排泄"の機能は備わっていません」
「……ソーニャ、ママはあとでワインを飲みたがるはずだからロゼを用意しといてくれ。僕はハイボールだ」
「了解しました」
ソーニャはそう言うとトニーに背中を向けて立ち去った
ナンバー10であるソーニャのAIはキャロルに比して貧弱である。
その動きもいわゆるロボット的なものが色濃く出ていて、言語能力もかなり物足りない。
よってトニーは一つの可能性に思い当たった。
「キャロル、ママはソーニャがAIであると気づいてしまったかもしれない。これで君までAIだとわかったら話が
さらにややこしくなりかねない。だから僕はママに君が僕の助手だと伝えておく。少なくとも嘘ではないしな」
「私はお母様をなんとお呼びしたらいいのでしょうか?」
「初対面の時ならミセス・パーソンズかなあ、あとママの名前はシャーリーだ」
「了解しました、マスター」
「マスターはよせ。トニーでいい」
「はい、トニー」
その時二人がいる部屋の床をハイヒールが鳴らすカチッという音が聞こえた。
トニーは微笑んで、その音を鳴らした女性の方に歩み寄った。
「やあママ、カリフォルニアにようこそ、元気そうで何よりだよ」
トニーはそう言って母の体を優しくハグした。
「ハイ、ハニー、貴方も元気そうね。ここの気候は貴方にマッチしてるってわかるわ」
そう言って彼女は息子に慈愛のこもった視線と微笑を与えた。
「そのとおりだよ。ママの方も相変わらず美しくて嬉しいよ」
これはトニーの"息子の贔屓目"ではなく事実であった。
シャーリー・パーソンズは美少女と美女の時代を過ぎた50歳の現在、いわゆるMILF(セクシー美熟女)としていま
だ現役の魅力を異性に誇り、虜にさせうる存在であった。
そのブロンドの髪は彼女の美貌を今も一層引き立てる。
その容貌と姿態をわかりやすくたとえるなら、彼女はブロンドの※モニカ・ベルッチであった。
※2015年51歳でボンドガールを演じたイタリア人女優、この年齢は現在もボンドガールの最年長記録である。
その緑の瞳に見つめられれば、トニーは少年時代がそうであったように今にも吸い込まれそうな心地になる。
そしてそのプロポーション!世の多くの女性がアラサーやアラフォーに入った時点で諦めたラインを、トニーの
手の中にある美女はまさにMILFの称号にふさわしく保っているのだ。
そしてソーニャがトレイにアルコールを準備して戻ってきた。
「トニーのお母様、ロゼのワインをご用意致しました」
そう言ってソーニャはシャーリーにワインの入ったグラスを差し出した。
「ありがとう」
シャーリーは微笑みながらグラスを受け取った。
「どういたしまして。トニーのお母様」
そう受け答えしながらソーニャはトニーにハイボールを手渡した。
「ねえ貴女、私のことはシャーリーと呼んでちょうだい」
「はいシャーリー、私のことはソーニャ、またはナンバー10とお呼びください」
「ナンバー10、ってことは貴女はトニーが作ったロボットってわけね?
「ロボットは正確な呼称ではありません、シャーリー。私は人工知能型アンドロイド、AIナンバー10です」
「とても機械とは思えない。人間そのものの外見だわね」
「私は若い頃のハイディ・クルム(ドイツ系ファッションモデル、往年かつ現役)をモデルにしています」
「道理で完璧なボディラインなわけだわ。トニーったら、貴方の作るロボットってみんな容姿がスーパーモデル
のコピーってことなの?」
「ママ、ロボットじゃなくAIだってば。ロボットは全部機械。彼女たちはエレクトロニクスと人工皮膚で構成さ
れた全く別次元の存在なんだからね」
だがシャーリーはトニーの自負に全く構わずに言った。
「それってママの質問に対する答えにはなっていないわね」
「全員実在の人物をモデルにしているのは事実だけど、スーパーモデルの容姿を持つのはソーニャだけだよ」
「もしかしてトニーが作ったのは全員女性?」
「ああ…まあね」
「ではこちらの方は?」
シャーリーはキャロルを見つめながらトニーにそう尋ねた。
「ママ、こちらはキャロル・シム、僕の個人秘書だ。キャロル、こちらは僕の母でシャーリー・パーソンズだ」
「ミセス・パーソンズ、私は(I am)貴女にお会いできてとても嬉しいです」
キャロルはそう言ってシャーリーに手を差し伸べた。
シャーリーはキャロルの手を握りしめ、何やら念入りに調査するような感じで握手をやや長めに続けた。
「こちらこそ嬉しいわ。あと息子が少なくとも一人は、本物の女性と交流できていることもね」
「楽しい旅でしたか?」
そうキャロルは言って、自分の"正体"についての話題を反らせた。
「それが全然、たとえファーストクラスでも、六時間のフライトは退屈で仕方がなかったわ」
「そうでしょうね。何か召し上がりますか?ソーニャになにか用意させますので」
「"コレ"(IT)って料理もできるわけ?」
シャーリーは傍らのソーニャを見つめながらそう言った。
「ママ、コレはないだろ。せめて彼女とかソーニャって呼んであげて欲しいな。僕は彼女をできるだけ人間に近
づけようとして作ったんだ。モノじゃなく女性としてね。性別認識はその第一段階なんだ、ITじゃないSHEだ」
「あらごめんなさい。私はAI相手の会話や生活なんて不慣れなものだから」
「じゃあ本物のの女性と同じように彼女に話しかけてみて。ソーニャは僕たちから人間的反応を学習するんだ」
「わかったわ。じゃあシャーリー、一緒にキッチンに行って何かおつまみを作りましょう」
「はいシャーリー」
ソーニャはそう答えるとシャーリーに向かって腕を差し出した。
シャーリーはソーニャの腕を掴み、そのまま二人は部屋を出ていった。
二人の姿が見えなくなると、トニーはキャロルの方を向いた。
「なかなかいい会話だった。次は I am じゃなく I'm みたいな短縮形を使うようにすればもっと自然になる」
「I'll try(心がけます)」
「完璧だね」
「トニー、ナンバー14がお母様にとてもよく似ていることに、私は感銘を受けました」
「自分で言うのも何だが僕も一緒だ。歩き方までそっくりだ」
「髪型が少し違いますが、それは簡単に修正が可能です」
「ちょっとキッチンを覗いて、ソーニャとママの様子を観察してみないか?」
そこでトニーとキャロルはキッチンに向かった。
シャーリーははカウンターに寄りかかって、ソーニャがおつまみを用意しているのを見ていた。
「あらトニー、ママ凄く感動しちゃてるとこよ」
母の言葉に気を良くしトニーはニヤッと笑うと、ソーニャに呼びかけた。
「ソーニャ。ハイパー・モードを起動せよ、クッキングのデモンストレーションといこう」
ソーニャはチーズの塊からナイフでスライスしている最中だったのだが、その声と同時に即座に動作の速度を上
げた。彼女の手元はナイフごとあまりの速さにかすみボヤけ、数秒後トレイの上にスライスチーズを載せたクラ
ッカーのおつまみがズラリと完成した。
「ワーオ! ママ、今見たものが信じられないわ」
「彼女の人工知能、要はコンピューターだね。僕ら人間の脳よりもはるかに効率的にその全身に指示を与え、寸
分の狂いもなく彼女たちの肉体はその指示通りに動作する。もっと早く、あるいは強くすることも可能だ。再充
電が必要になるまで20時間の連続使用が可能なのさ」
「ママ、今年のサンタさんにお願いするものを決めちゃったわ」
シャーリーはそう言ってニコっと笑った。トニーはその笑顔にキッチン中が華やいだような気分になった。
「残念だけど彼女たちはまだ試作段階なんだよね」
「彼女たちを販売するつもりなわけ?」
「まだ決めてない。早いどころか限りなく強くすることもできるから、容易に兵器転用が可能なんだよね。空を
飛べないことを除けば、彼女たちは基本スーパーヒーローそのものさ。いやスーパーヒロインかな」
「ママはハニーがずっとダッチワイフを作ってるとばかり思ってたわ」
「私は生殖能力を除けば完璧なセックス機能を有しています。デモンストレーションをご希望でしょうか?」
ソーニャは真顔でそう言って、二人の会話に割り込んできた。
「あ、あら、えーっと、いえそれには及ばないわ。お気持ちだけありがとう」
シャーリーは少しだけその美貌を赤く染め、ソーニャの申し出を丁重にお断りした。
トニーは赤面し両手を顔にあてて思わず「ジーザス」とつぶやいてしまった。
その反応を見てシャーリーはニヤリと微笑み、ソーニャにストレートな質問をぶつけることにした。
「ねえソーニャ、貴女って、私の坊やとセックスしたことはあるの?」
「マスターは成人で坊やではありません。そして私はマスターの性交渉の相手ではありません。それはナンバー
フォー…」
「ナンバー10!スリープモード!!」
トニーのやや引きつった言葉がキッチンに響いた瞬間、ソーニャはその場で停止した。
途端に聞こえたのはシャーリーの愛らしい笑い声である。
「もうあと少しだったのに、彼女が言ったのってナンバーフォー?フォーティーン?どっちなのよ?」
「システムの不具合。それが今僕が取り組んでいる今一つの問題だ。ナンバー10!音声オフ!起動せよ」
トニーは自分でもよくわからない言葉を羅列したあとで、次に明確な指示を声に出した。
途端にソーニャは目を開き、キッチンでのおつまみ作りを再開した。
「ソーニャ、さっきのナンバーの続きは?」
シャーリーの質問に対しソーニャは返事をしなかった。
「ママ、ソーニャの音声モジュールはオフになってる。プライバシーフィルターに問題発生でね」
「パパがこの場にいなくてよかったわ。20代の頃のハイディ・クルムのような女性におつまみやサンドイッチを
作らせ、言葉一つで黙らせたり。いろいろエッチなことも試せるときたら、ママなんて途端にお払い箱になって
るところよ。これって全ての男性の夢そのものなんじゃない?」
「……全ての男性のじゃあないと思うな」
トニーのその言葉の裏に隠された深い思いをシャーリーは当然知らない。
代わりに彼女は別の質問を発した。
「彼女に月経はあるの?」
「もちろんないよ。意味ないからね」
「月のものの前のイライラとは無縁ってことね。彼女は命令一つでオーガズムに達したりできるわけ?」
「ちょっとママ(ストレート過ぎだってば)」
「どうなの?」
「うんソーニャはオーガズムをシュミレートできるよ」
「彼女は全ての男性の夢の女性、ああぜひともそれを見てみたいわ。カモンハニー!ママに見せてちょうだい」
「ナンバー10!オーガズム、レベル2」
トニーの声と同時にソーニャはやや両足を開き、両手でキッチンカウンターを掴んだ。
彼女の肉体が緊張し腰の部分が揺れ始める。その背中がのけぞり焼く20秒間全身が痙攣を始めた。
ソーニャは大きく口を開き、その顔に絶頂のそれが浮かんでいるものの、彼女からは激しい呼吸音の他に何も聞
こえては来なかった。
シャーリーは目を丸くしてソーニャの様子を凝視していた。
「こんな静かなオーガズムなんて、ママ初めてお目にかかったわ」
「音声を切っているからね」
「レベル2って言ったわよね? 何段階まであるわけ?」
「レベル4までさ」
それを聞いてシャーリーはキャロルの方を見た。
「私たちもこれくらい簡単に自分をコントロールできたら、いろいろ楽だと思わない?」
「実は私は…いえそう思いますわ」
キャロルは一瞬真実を口にしかけそうだったので、トニーは一瞬あせったものの、彼女のフィルターは正常に機
能していることに安堵した。
キャロルはソーニャに輪をかけたリアルなオーガズム反応とレベル6までのスイッチを持つ。
だがトニーはそれをシャーリーに言うつもりはなかった。
代わりに彼は話題をそれとなく変えることにした。
「それでママ、どれくらいこっちにいるつもり?」
「一週間の予定よ。ねえ彼女って他に何ができるの?」
「コンピューターや人間ができることなら何でも可能さ」
「じゃあおちんぽしゃぶりもできちゃうってわけね」
「ママ!彼女はAIだ、ダッチワイフじゃないんだよ」
「それはさっき聞いたわ。それとは別に興味が湧くわけよ。おフェラできちゃうの?」
「イエス」短くそう言ってトニーはため息をついた。
「ねえママ、もっと有意義な会話ができないもんかなあ?」
「喉まで飲み込めちゃったり?」
「やめる気ゼロってわけだね」
「イエース」
シャーリーはそう言ってクスクス笑う。その笑顔にどうしてもトニーの心はくすぐられてしまう。
「フェラチオ、イマラチオ、ディープ・スロート、なんでもござれさ。プッシーもお尻も完璧に機能する」
「殿方の漏らしたミルクは吐き出すの? 飲み込んじゃうの?」
「全てはその殿方の指示通りさ」
「ねえハニー、彼女ってプッシーもナメナメできちゃうの?」
「うん、彼女は凄く上手だって評価を受けているよ」
そこでシャーリーはキャロルの方を向き、次にトニーに視線を戻した。
「それって誰が試したわけ?」
「いやそれはキャロルじゃないんだよ」
「誰が試したのかはともかく、ハニーはまず私に電話してくるべきだったわね。ママは喜んでソーニャのテスト
に志願したのに。パパが亡くなってからというものママはとんとセックスはご無沙汰よ、異性でも同性でも」
「わかった。ソーニャにナメナメさせたいんだね」
「まずはロマンチックに舌と舌を絡めてからよ」
トニーは母の言葉を冗談と思い、冗談を返した。
「じゃあさっそく今夜、ソーニャをママのベッドに向かわせるね」
「楽しみだわ。あ、彼女の音声はオンに戻しておいてよ。彼女のイク声が聞きたいもの」
トニーは少し左の眉を上げてシャーリーを見つめた。
「あらママは本気よ。彼女を寄こして。念のためバイブも持ってきてくれたらありがたいわ」
「彼女の舌と指はハイパーモードを起動できる。もちろん※ロボット工学三原則に則り、人間に危害を与えるよ
うな速度や行為の心配は無用さ。そして彼女にはバイブレーターも組み込まれているのさ」
※ロボット工学三原則 ①人間への安全性②命令への服従③自己防衛 詳しくはぐぐられたし
「まあこんな美女にペニスですって!! 彼女って男女なんて関係なく、全人類の夢そのものじゃないの!」
そして改めてシャーリーはまっすぐトニーを見つめた。
「ソーニャを寄こしてくれるわね?」
「ママの仰せのとおりに。ナンバー10、音声オン。肉体を洗浄&再充電せよ。シャーリーの指示によってセック
スモードをオンにすることを許可する」
「かしこまりました」
トニーに向かってそうつぶやくとソーニャはキッチンを出ていった。
既におつまみとサンドイッチは完成している。
「ソーニャを寄こして欲しくなったら僕かキャロルに連絡して」
そこでシャーリーはキャロルの方を向いた。
「あら貴女はここに住んでるわけ?」
「はい、専用の部屋を与えられていますわ」
「トニーとは別?」
そこでキャロルは微笑を浮かべながらその問いに答えた。
「別ですわ。私はトニーの個人秘書であって、ガールフレンドではありませんので」
トニーは心の中で手を叩いて喜んだ。キャロルのフィルターは見事に機能している。
またキャロルの言葉に偽りはない。
各AIはキューブと呼ばれる専用の洗浄・充電・メンテナンス用の小部屋が用意されている。
その中でもキャロルには特別に彼女だけの大きめのキューブが割り当てられ、キャロルはそこに衣類・化粧品、
その他身だしなみを整えるためのもろもろを備えていた
キャロル以外のAIは基本的にメイクは一定だが、キャロルのメイクは必要に応じて変える仕様となっている。
なぜか理由はトニーにもわからないが、キャロルの起動以来、彼女がトニーにとって特別な存在であることは確
かであった。それを人間に当てはめれば"個人秘書"がもっとも近い単語というわけである。
「トニー、許可をいただけるなら私は自室で少し休養したいのですが」
「いいよキャロル。僕はママに家の中を案内しようと思う。その後は三人で七時にレストラン・デルモニコスで
食事をしようじゃないか」
「休養の前に予約を入れておきます」
「ありがとう」
キャロルは部屋を出た。
彼女はスマホやパソコンを使わずとも、彼女自身の意思でネットにアクセスが可能であり、自室に向かう途中で
レストランに予約を入れた。
キューブに入るとキャロルは靴を脱ぎ、首筋に充電プラグを差し込むとタイマーを一時間後にセットして、睡眠
モードに入った。
一方トニーはシャーリーに自宅と敷地を案内していた。
トニーは父親であるアーロンが彼に残した遺産を使ってこの家を建てた。
シャーリーがこの家を訪問したのはこれが初めてであり、彼女はいたくここが気に入った様子である。
だがトニーが母親に見せたものは全てではなかった。
リビングにある本棚、それはスイッチひとつでスパイ映画のように移動し、パネルが一つ出現する。
パネルは薄いドア仕様になっていて、そこを開きくぐればトニーの真のプライベート空間がそこにあるのだ。
即ち各AIのキューブ、彼の自宅での研究室、そしてもっとも肝心なのが"プレイルーム"であった。
*****
三人はレストランで夕食と会話を楽しみ帰宅した。
食事風景まで見せられれば、シャーリーがキャロルを人間だと思って疑わないことは明白である。
「さてっと食欲は十分満たされたわ。じゃあお次は未亡人の体の火照りを満たす番だわね。あとでソーニャを寄
こしてくれるわね?」
「仰せのとおりにマム」
「ええっと、こんな言い方は彼女に失礼なのはわかってるけど、使用上の注意とかある?」
「セックスモードの起動に必要なのは命令じゃなく、キスまたは彼女への愛撫だよ。それで自動的にモードが起
動する。何か特定の行為が必要なら彼女に言えばいい。三原則に則り彼女はママを一切傷つけることなく素晴ら
しい快感をママに与えてくれるはずだからね」
「彼女って私に"する"だけじゃなく"される"ことも可能なの?」
「もちろんさ。ただ彼女の愛液は本物の女性と同じとまではいかないんだ。その代わりフレバーを選択できる。
それはヴァニラとチェリーと………アレ?」
「ミントですわ」
そうキャロルが付け加えてくれた。
「ありがと。ちょっとど忘れしちゃったよ。まあその三種類から好きなフレバーを選んでみて」
「オーガズムについても詳細な説明が欲しいとこね」
「"ナンバー10!オーガズム・レベル"まで言ってそこから1から4まで選べる。4を選んだ日にはママのベッドは
彼女のエキスで水浸しさ。彼女の全身のセンサーもママから与えられる愛撫で、快感をデータ化して蓄積する。
そして特定のポイントまで達したらオーガズム発動ってわけだ」
「彼女の持続時間は?」
「フル充電させてるとこだから約20時間の連続使用が可能さ。ただママの体力がもたないでしょ。ママが快感と
疲労で眠たくなったらソーニャが優しくハグしてくれるさ。要は後戯もバッチリってことだよ」
「詳細な仕様説明に感謝するわ。じゃあ30分後に彼女を寄こして。ママはシャワーを浴びるから」
「了解だよマム」
そこでキャロルが質問を発した。
「シャーリー、ソーニャにはどんな衣装をご希望でしょうか?」
「それって普段着でもコスプレでもオッケーってことかしら?」
「はい、お望み次第ですわ」
「どんな衣装が選べるのか教えて」
「ナース、女医、ミニスカポリス、ケバケバ娼婦、性奴隷、メイド、OL、女教師、女王様、エトセトラです」
そこでシャーリーはトニーに悪戯っぽく微笑みながら言った。
「ボーイ、貴方ってずいぶん好き物ね、コスプレ好きの変態さんだったなんて、ママ育て方間違っちゃった?」
「いえそれらは私がハロウィンの際に選んだ衣装ですわ、シャーリー」
キャロルはそう言ってトニーに助け舟を出したが、シャーリーの顔はニヤニヤしたままで信じた様子がない。
「まあそういうことにしといてあげましょう。セクシーなナイティは選択肢にあるかしら?」
「シースルーのベビードールなんかお勧めですよ」
シャーリーはそこでひときわ妖艶な笑みを浮かべ、トニーの背中にゾクゾクしたものが走った。
「それって最高じゃないの。それも貴女のコレクション?」
「はい」
キャロルもAIながら、シャーリーに負けず劣らずな笑みを返しながら言った。
「オッケー、準備はすべて整ったってところね。じゃあおやすみなさい、ハニー&キャロル」
そしてシャーリーは後ろを振り返り自室に向かおうとしたが、部屋を出る直前トニーの方を振り返った。
「ハニー、ママをふしだらな女って軽蔑する?」
「まさか、僕はもう26歳の大人だよ。女性の性欲についての理解は心得てるさ。じゃあ素敵な時間を過ごして」
シャーリーの足音が遠くなった時点で、トニーはキャロルに話しかけた。
「ソーニャにブランデーの瓶を持たせてくれ。ママは寝酒によく嗜むんだよ」
「了解です。あとトニー、私はシャーリーと会話している間に凄く興奮してしまったんですよ。よければおフェ
ラさせて欲しいのですが」
「すまないが遠慮しとくよ。ソーニャがママの部屋に入ってから10分後に、ナンバー14を僕の部屋に寄こしてお
くれ。僕は今、すごく14が欲しいんだよ」
「お察ししますわ。それと私の夕方以降の会話は及第点をいただけましたか?」
「素晴らしいよ。ママは全く疑っちゃいなかった」
「もう一つ質問しても構いませんか?」
「構わないよ」
「トニーはナンバー12、13、そしてナンバー15である私の口・膣・アヌスを性的に強化しました。ですがその仕
様を14には施そうとはしませんでした。なぜでしょうか?」
「僕はナンバー14をできるだけ人間に近づけたかったんだ」
「即ちお母様にできるだけそっくりにしたかったということですね?」
「ご名答」
「お母様と男女の仲になったことはあったのですか?」
「まさか、人としての一線はわきまえているさ」
「ですがお母様はおそらくトニーを拒まないだろうと思います」
「どうしてわかる?」
「シャーリーがセクシャルな女性であることは明らかです。そんな女性が貴方を見る時、彼女の瞳孔は開き、そ
して貴方に気づかれないように頻繁に貴方の体を、特に股間を見つめていらっしゃいました」
「…キャロル、近親相姦は原罪だ。多分世界中で報告されたケース以上にそれは溢れているだろう。だが世間に
秘匿しなきゃならないほどに後ろ指をさされるものなんだ。僕にはそのラインを超えられそうにない」
「データによれば報告された近親相姦でもっとも多いのは、兄弟姉妹間の合意によるセックスです。これらが半
数を占めますが母子相姦は5%とやや低くなります。ですが近年の研究では実際の母子姦の割合はもっと高くな
るはずだと考えられています」
「僕はママを愛している。僕たちの関係を危険に晒すようなことはしたくないんだ。ママに迫り、結果拒まれ、
軽蔑された日には僕は生きていく意味を失ってしまう。だからAIナンバー14を僕は作ったんだ。彼女となら僕は
法的に引っかかることは何もしていないわけだろ。道徳的には色々議論があるとは思うけどね」
「了解しました」
「じゃあ僕はシャワーを浴びて眠る、おやすみキャロル」
「私は自分のキューブで休んだほうがいいですか?」
「まあ、ママの滞在中はそうしてくれるとありがたいね」
「ではマスターの仰せのとおりに。おやすみなさいトニー」
そして二人はそれぞれ自室に向かった。キャロルは歩きながらソーニャとナンバー14に指示を与えた。
*
シャーリーがシャワーを済ませ、ベッドに横になってタブレットで配信動画サービスを見ていると、ドアがコン
コンとノックされた。
「入って」
彼女の声は明らかに興奮していた。
そしてドアが開きソーニャが姿を見せた。髪はポニーテールにまとめられ、シースルーのベビードールをその素
晴らしい姿体にまとっている。その手にはブランデー瓶とグラスが握られていた。
「ハイ、シャーリー。寝酒もお持ちしましたわ」
ソーニャの顔に浮かぶ微笑みは、実に自然にシャーリーの目に映った。
「ありがとう。ここへどうぞ」
シャーリーはそう言って自分の隣のベッドの上のスペースをポンポンと叩いた。
そこでソーニャはシャーリーにブランデーを注いで渡し、シャーリーの隣に見を横たえた。
「シャーリー、貴女から若干の気まずさや気後れといったものを感じます。リモコンの黄色いボタンを押してみ
てください。もっと私たちはリラックスした気分になれると思います」
シャーリーがボタンを押すと、部屋の中の大画面テレビに百合動画が再生された。
アラフィフ美熟女はしばらくそれに見入り、数分後ソーニャに話しかけた。
「私って、その…イッたら凄い大声出しちゃうのよね。トニーに聞こえちゃったりしないかしら?」
「結論から言えばイエスです。もっとマスターから離れた場所をお望みでしょうか?」
「お願いするわ」
ソーニャはすぐにベッドから身を起こし、シャーリーの手を取った。
シャーリーはとりあえずブランデーのグラスを片手に、ソーニャに手を引かれて部屋を出た。
そして廊下を歩く途中でシャーリーは、あるものを見て絶句し立ち止まった。
それは自分と瓜二つの存在が自分に向かって歩いてくるのを目にしたためである。
「ハロー、シャーリー&ソーニャ」
"ソレ"はシャーリーの存在に全く気にもとめない様子で、二人のそばを通り過ぎた。
「あ、あ、あ、アレは何なのよ!?!?!?」
シャーリーが至極当然の反応と質問をソーニャに投げかけた。
「貴女が"アレ"と呼称したのはナンバー14です。そして彼女の名称は"ママ"です」
「……で、彼女は今からどこに何をしに行くわけ?」
「トニーの寝室へです。ナンバー14は毎晩マスターにおフェラご奉仕するのが日課です」
「そ…そんな、彼女は私、私そっくり…」
シャーリーの声は惑乱で打ち震えている。
「"ママ"はマスターの至高のお気に入りです。"ママ"は深夜のみならずトニーが朝食をとっている時にもおフェ
ラを欠かしません。簡単に言えば"ママ"はマスターの一番のお気に入りです」
TO BE CONTINUED
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午後三時、トニー・パーソンズは研究室で彼にとっては16番目の最新モデルを組み立てていた。
彼が工科大学を卒業して既に四年、彼はその間AI(人口知能型アンドロイド)の研究に打ち込んできたのである。
そしてトニーが26歳を迎えた今年、彼は遂にこの惑星上でもっとも高性能なAIを、密かに独力で作り上げること
に成功していたのだった。
「マスター(御主人様)、貴方の家の正門前に人が立っています」
「誰も訪ねて来る予定はなかったはずだがな、誰かわかるかい?」
「マスターのお母様のようですね」
「ママだって!?」
「イエス、マスター」
「ちいっ!キャロル、今すぐナンバー10にナンバー14を片付けさせろ、それからママを出迎えさせてくれ」
「了解、ナンバー10に連絡完了」
「ありがとうキャロル。僕らはすぐ家に戻らねばならない。なぜママがやってきたのかを知る必要がある」
「了解です」
「全くこいつはメッチャファックな悪夢だぜ」
「非論理的です。マスターは現在睡眠状態にありません」
「キャロール、AIの習熟が足らないな。こいつは比喩表現てやつだよ、言語データにアクセスしてみろ」
「アクセス、了知完了。ですがマスター、母親が息子の家を訪ねてきたことが、なぜメッチャファックな悪夢に
該当してしまうのかがわかりませんが」
「ママが自分にそっくりなAIを見てしまった日には、ママの心の座り心地は最悪だろうってことさ」
「心の座り心地…それも比喩表現の一種なのでしょうか?」
「正解だ。近親相姦のデータにアクセスしてみろ。もっと悪夢や座り心地の意味がわかるだろうさ」
「しかしナンバー14はAIに過ぎません。マスターとナンバー14の間に血の繋がりも当然ありません。よってそれ
は近親相姦の定義には当てはまりません」
「それはどうかな? まずはともあれママの姿を再確認するとしようか」
「お母様は大きな荷物を三つ持ってきています。どうやらマスターの家に長期滞在をするつもりのようですね」
「そうとは限らない。ママは食料品店に行く時も大きなスーツケースを二つ用意するような女性だ」
「そのたとえは現在のお母様の状況に全くあてはまりません、一番予想されるケースはやはり長期滞…」」
「冗談だよ、キャロル」
「了解しました」
キャロル、それはトニーが作り上げた15番目のAIであり、当然ながら最新型でもっとも高度なAIである。
にもかかわらず本質的に彼女はいまだ人間的行動につき不慣れなままであった、要は人間初心者だ。
彼女の姿は洗練された優美な人間の女性そのものであり、その動作も無駄なものがない完璧さを保つ。
それにも関わらず彼女が人間初心者のままであったのは、彼女の周囲に存在する人間がトニーのみであったため
である。トニーだけでは言語ベースの蓄積には足らず、ちょっと気の利いた言い回しやジョークを理解すること
はできず、言葉を文字通り受け止めることしかできないのであった。
例えば彼女がトニーの「フライング・ファック(クソッタレの意味)」なるスラングを聞きつけたならば「マス
ターは空中でセックスをなさりたいのですか、では飛行機を手配致します」という反応が返ってしまうわけだ。
トニーが開発した15体のAIは全てが最初は赤ん坊のような無垢な状態から、驚くべきペースで人間的行動・言動
を学習した。それは最新型になるほど人間への習熟度を早めた。
そのもっとも高度なAIを持つキャロルにして、まだこのレベルの段階にあるわけである。
もっともキャロルが起動してからまだ一ヶ月しか経ってはいない。よってそれも無理からぬ事なのだ。
キャロルはジェーン・シーモアなる往年の美人女優をモデルに作られた。
ジェーンの全盛期の身長は165センチ、体重は55キロだったと聞く。やや小ぶりの胸のスタイル抜群の女性だ。
体重はともかくその美女をコピーした姿である以上、キャロルもまたスリムな美女であるのは当然である。
ジェーンの20代の頃のブロマイドそのものの、肩までかかった美しい茶髪・茶色の瞳・美貌がそこにあった。
余りに無駄がないという欠点?を除けば、キャロルの動作は人間そのものであった。
おそらく誰もがそうと言われるまでは、キャロルが人造人間であることには気が付かないだろう。
さらに特筆すべき特色として、キャロルが"女性"としても十分に機能するというものがあった。
彼女の口・膣・直腸内は生身の女性ではありえないほど、男性を喜ばせるために最適に強化されていた。
キャロルとセックスをした男性は誰もが彼女の虜となるだろう。
当然ながらキャロルの女性機能をテストしたのはトニー自身である。
それは十二分に彼に官能と感動と堪能を与えてくれたが、唯一の欠点は"味"であった。
トニーはキャロルの愛液の質感とタイミング、最高の絶頂値に達した時の大量放出のそれを完璧に調整したのだ
が、なかなか本物の女性の味わいが作り出せずにいたのである。
その代わりキャロルの愛液は基本薄味でありながらも、トニーが指示を出せばヴァニラ・ミント・チェリーなど
様々なフレバーのそれを分泌させることが可能となっている。トニーは今もその改良に余念がない。
そしてトニーとその美貌の助手は研究所を出て、駐車場に向かい愛車に乗り込んだ。
運転手はキャロルである。AIである以上彼女は優秀なドライバーでもあった。
二人はまもなく自宅に到着。二人が呼び鈴を押す前に、玄関のドアは今また一人の美女によって開かれた。
「お帰りなさいませ、マスター」
これはトニーの10番目の創造物であるソーニャである。
「ありがとうソーニャ、ママはどこだい?」
「ゲストルームまで案内致しました。今は fresh になっている(くつろいでいる)最中です」
「ではここに来たときはOLD(古い)だったわけですね、女性が短時間で若返る事が可能とは知りませんでした」
キャロルの言葉にやや驚いてトニーは彼女を見つめた。
「マスター、ユーモアの一種です」
「なかなかいい。だけど cigar (葉巻のこと、ここではご褒美という意味のスラング)はあげられないな」
「喫煙ははなはだ不健康な趣味です」
ソーニャとキャロルは声を揃えてそう言った。
「ハハ、そうだね。ソーニャ、ナンバー14はどこに?」
「彼女は現在コートのクローゼットの中に収納中、睡眠モードにあります」
「今夜ママが眠ったらプレイルームに彼女を移動させてくれ。ママにナンバー14の存在を知られたくないんだ」
「かしこまりました」
「そういや君を見てママはどんな反応をしてた?」
「かなり驚かれたご様子でした」
「ん? 君がAIであるとママは気づいたってことか?」
「そうは思いません、マスター」
「じゃあママは何に驚いたんだ?」
「私はその時浴室で自分を洗浄中でした。そこにお母様が到着なさったので、全裸のままでドアを開きお母様を
出迎えたのです」
「………ああ、そりゃ驚いただろうなあ…」
「ハイ、マスターの言い方を借りれば、メッチャ驚いていらっしゃいました」
「当然、君がなぜ裸なのかを聞かれたんだろう?」
「いいえ、お母様は私をマスターが呼んだ娼婦なのかと聞いてこられました」
「なんて答えたんだ?」
「事実をです。私は娼婦ではないが女性としての機能は備わっていると答えました」
「クソッタレ!」
思わずトニーはそう毒づいてしまった。
「マスター、私に"排泄"の機能は備わっていません」
「……ソーニャ、ママはあとでワインを飲みたがるはずだからロゼを用意しといてくれ。僕はハイボールだ」
「了解しました」
ソーニャはそう言うとトニーに背中を向けて立ち去った
ナンバー10であるソーニャのAIはキャロルに比して貧弱である。
その動きもいわゆるロボット的なものが色濃く出ていて、言語能力もかなり物足りない。
よってトニーは一つの可能性に思い当たった。
「キャロル、ママはソーニャがAIであると気づいてしまったかもしれない。これで君までAIだとわかったら話が
さらにややこしくなりかねない。だから僕はママに君が僕の助手だと伝えておく。少なくとも嘘ではないしな」
「私はお母様をなんとお呼びしたらいいのでしょうか?」
「初対面の時ならミセス・パーソンズかなあ、あとママの名前はシャーリーだ」
「了解しました、マスター」
「マスターはよせ。トニーでいい」
「はい、トニー」
その時二人がいる部屋の床をハイヒールが鳴らすカチッという音が聞こえた。
トニーは微笑んで、その音を鳴らした女性の方に歩み寄った。
「やあママ、カリフォルニアにようこそ、元気そうで何よりだよ」
トニーはそう言って母の体を優しくハグした。
「ハイ、ハニー、貴方も元気そうね。ここの気候は貴方にマッチしてるってわかるわ」
そう言って彼女は息子に慈愛のこもった視線と微笑を与えた。
「そのとおりだよ。ママの方も相変わらず美しくて嬉しいよ」
これはトニーの"息子の贔屓目"ではなく事実であった。
シャーリー・パーソンズは美少女と美女の時代を過ぎた50歳の現在、いわゆるMILF(セクシー美熟女)としていま
だ現役の魅力を異性に誇り、虜にさせうる存在であった。
そのブロンドの髪は彼女の美貌を今も一層引き立てる。
その容貌と姿態をわかりやすくたとえるなら、彼女はブロンドの※モニカ・ベルッチであった。
※2015年51歳でボンドガールを演じたイタリア人女優、この年齢は現在もボンドガールの最年長記録である。
その緑の瞳に見つめられれば、トニーは少年時代がそうであったように今にも吸い込まれそうな心地になる。
そしてそのプロポーション!世の多くの女性がアラサーやアラフォーに入った時点で諦めたラインを、トニーの
手の中にある美女はまさにMILFの称号にふさわしく保っているのだ。
そしてソーニャがトレイにアルコールを準備して戻ってきた。
「トニーのお母様、ロゼのワインをご用意致しました」
そう言ってソーニャはシャーリーにワインの入ったグラスを差し出した。
「ありがとう」
シャーリーは微笑みながらグラスを受け取った。
「どういたしまして。トニーのお母様」
そう受け答えしながらソーニャはトニーにハイボールを手渡した。
「ねえ貴女、私のことはシャーリーと呼んでちょうだい」
「はいシャーリー、私のことはソーニャ、またはナンバー10とお呼びください」
「ナンバー10、ってことは貴女はトニーが作ったロボットってわけね?
「ロボットは正確な呼称ではありません、シャーリー。私は人工知能型アンドロイド、AIナンバー10です」
「とても機械とは思えない。人間そのものの外見だわね」
「私は若い頃のハイディ・クルム(ドイツ系ファッションモデル、往年かつ現役)をモデルにしています」
「道理で完璧なボディラインなわけだわ。トニーったら、貴方の作るロボットってみんな容姿がスーパーモデル
のコピーってことなの?」
「ママ、ロボットじゃなくAIだってば。ロボットは全部機械。彼女たちはエレクトロニクスと人工皮膚で構成さ
れた全く別次元の存在なんだからね」
だがシャーリーはトニーの自負に全く構わずに言った。
「それってママの質問に対する答えにはなっていないわね」
「全員実在の人物をモデルにしているのは事実だけど、スーパーモデルの容姿を持つのはソーニャだけだよ」
「もしかしてトニーが作ったのは全員女性?」
「ああ…まあね」
「ではこちらの方は?」
シャーリーはキャロルを見つめながらトニーにそう尋ねた。
「ママ、こちらはキャロル・シム、僕の個人秘書だ。キャロル、こちらは僕の母でシャーリー・パーソンズだ」
「ミセス・パーソンズ、私は(I am)貴女にお会いできてとても嬉しいです」
キャロルはそう言ってシャーリーに手を差し伸べた。
シャーリーはキャロルの手を握りしめ、何やら念入りに調査するような感じで握手をやや長めに続けた。
「こちらこそ嬉しいわ。あと息子が少なくとも一人は、本物の女性と交流できていることもね」
「楽しい旅でしたか?」
そうキャロルは言って、自分の"正体"についての話題を反らせた。
「それが全然、たとえファーストクラスでも、六時間のフライトは退屈で仕方がなかったわ」
「そうでしょうね。何か召し上がりますか?ソーニャになにか用意させますので」
「"コレ"(IT)って料理もできるわけ?」
シャーリーは傍らのソーニャを見つめながらそう言った。
「ママ、コレはないだろ。せめて彼女とかソーニャって呼んであげて欲しいな。僕は彼女をできるだけ人間に近
づけようとして作ったんだ。モノじゃなく女性としてね。性別認識はその第一段階なんだ、ITじゃないSHEだ」
「あらごめんなさい。私はAI相手の会話や生活なんて不慣れなものだから」
「じゃあ本物のの女性と同じように彼女に話しかけてみて。ソーニャは僕たちから人間的反応を学習するんだ」
「わかったわ。じゃあシャーリー、一緒にキッチンに行って何かおつまみを作りましょう」
「はいシャーリー」
ソーニャはそう答えるとシャーリーに向かって腕を差し出した。
シャーリーはソーニャの腕を掴み、そのまま二人は部屋を出ていった。
二人の姿が見えなくなると、トニーはキャロルの方を向いた。
「なかなかいい会話だった。次は I am じゃなく I'm みたいな短縮形を使うようにすればもっと自然になる」
「I'll try(心がけます)」
「完璧だね」
「トニー、ナンバー14がお母様にとてもよく似ていることに、私は感銘を受けました」
「自分で言うのも何だが僕も一緒だ。歩き方までそっくりだ」
「髪型が少し違いますが、それは簡単に修正が可能です」
「ちょっとキッチンを覗いて、ソーニャとママの様子を観察してみないか?」
そこでトニーとキャロルはキッチンに向かった。
シャーリーははカウンターに寄りかかって、ソーニャがおつまみを用意しているのを見ていた。
「あらトニー、ママ凄く感動しちゃてるとこよ」
母の言葉に気を良くしトニーはニヤッと笑うと、ソーニャに呼びかけた。
「ソーニャ。ハイパー・モードを起動せよ、クッキングのデモンストレーションといこう」
ソーニャはチーズの塊からナイフでスライスしている最中だったのだが、その声と同時に即座に動作の速度を上
げた。彼女の手元はナイフごとあまりの速さにかすみボヤけ、数秒後トレイの上にスライスチーズを載せたクラ
ッカーのおつまみがズラリと完成した。
「ワーオ! ママ、今見たものが信じられないわ」
「彼女の人工知能、要はコンピューターだね。僕ら人間の脳よりもはるかに効率的にその全身に指示を与え、寸
分の狂いもなく彼女たちの肉体はその指示通りに動作する。もっと早く、あるいは強くすることも可能だ。再充
電が必要になるまで20時間の連続使用が可能なのさ」
「ママ、今年のサンタさんにお願いするものを決めちゃったわ」
シャーリーはそう言ってニコっと笑った。トニーはその笑顔にキッチン中が華やいだような気分になった。
「残念だけど彼女たちはまだ試作段階なんだよね」
「彼女たちを販売するつもりなわけ?」
「まだ決めてない。早いどころか限りなく強くすることもできるから、容易に兵器転用が可能なんだよね。空を
飛べないことを除けば、彼女たちは基本スーパーヒーローそのものさ。いやスーパーヒロインかな」
「ママはハニーがずっとダッチワイフを作ってるとばかり思ってたわ」
「私は生殖能力を除けば完璧なセックス機能を有しています。デモンストレーションをご希望でしょうか?」
ソーニャは真顔でそう言って、二人の会話に割り込んできた。
「あ、あら、えーっと、いえそれには及ばないわ。お気持ちだけありがとう」
シャーリーは少しだけその美貌を赤く染め、ソーニャの申し出を丁重にお断りした。
トニーは赤面し両手を顔にあてて思わず「ジーザス」とつぶやいてしまった。
その反応を見てシャーリーはニヤリと微笑み、ソーニャにストレートな質問をぶつけることにした。
「ねえソーニャ、貴女って、私の坊やとセックスしたことはあるの?」
「マスターは成人で坊やではありません。そして私はマスターの性交渉の相手ではありません。それはナンバー
フォー…」
「ナンバー10!スリープモード!!」
トニーのやや引きつった言葉がキッチンに響いた瞬間、ソーニャはその場で停止した。
途端に聞こえたのはシャーリーの愛らしい笑い声である。
「もうあと少しだったのに、彼女が言ったのってナンバーフォー?フォーティーン?どっちなのよ?」
「システムの不具合。それが今僕が取り組んでいる今一つの問題だ。ナンバー10!音声オフ!起動せよ」
トニーは自分でもよくわからない言葉を羅列したあとで、次に明確な指示を声に出した。
途端にソーニャは目を開き、キッチンでのおつまみ作りを再開した。
「ソーニャ、さっきのナンバーの続きは?」
シャーリーの質問に対しソーニャは返事をしなかった。
「ママ、ソーニャの音声モジュールはオフになってる。プライバシーフィルターに問題発生でね」
「パパがこの場にいなくてよかったわ。20代の頃のハイディ・クルムのような女性におつまみやサンドイッチを
作らせ、言葉一つで黙らせたり。いろいろエッチなことも試せるときたら、ママなんて途端にお払い箱になって
るところよ。これって全ての男性の夢そのものなんじゃない?」
「……全ての男性のじゃあないと思うな」
トニーのその言葉の裏に隠された深い思いをシャーリーは当然知らない。
代わりに彼女は別の質問を発した。
「彼女に月経はあるの?」
「もちろんないよ。意味ないからね」
「月のものの前のイライラとは無縁ってことね。彼女は命令一つでオーガズムに達したりできるわけ?」
「ちょっとママ(ストレート過ぎだってば)」
「どうなの?」
「うんソーニャはオーガズムをシュミレートできるよ」
「彼女は全ての男性の夢の女性、ああぜひともそれを見てみたいわ。カモンハニー!ママに見せてちょうだい」
「ナンバー10!オーガズム、レベル2」
トニーの声と同時にソーニャはやや両足を開き、両手でキッチンカウンターを掴んだ。
彼女の肉体が緊張し腰の部分が揺れ始める。その背中がのけぞり焼く20秒間全身が痙攣を始めた。
ソーニャは大きく口を開き、その顔に絶頂のそれが浮かんでいるものの、彼女からは激しい呼吸音の他に何も聞
こえては来なかった。
シャーリーは目を丸くしてソーニャの様子を凝視していた。
「こんな静かなオーガズムなんて、ママ初めてお目にかかったわ」
「音声を切っているからね」
「レベル2って言ったわよね? 何段階まであるわけ?」
「レベル4までさ」
それを聞いてシャーリーはキャロルの方を見た。
「私たちもこれくらい簡単に自分をコントロールできたら、いろいろ楽だと思わない?」
「実は私は…いえそう思いますわ」
キャロルは一瞬真実を口にしかけそうだったので、トニーは一瞬あせったものの、彼女のフィルターは正常に機
能していることに安堵した。
キャロルはソーニャに輪をかけたリアルなオーガズム反応とレベル6までのスイッチを持つ。
だがトニーはそれをシャーリーに言うつもりはなかった。
代わりに彼は話題をそれとなく変えることにした。
「それでママ、どれくらいこっちにいるつもり?」
「一週間の予定よ。ねえ彼女って他に何ができるの?」
「コンピューターや人間ができることなら何でも可能さ」
「じゃあおちんぽしゃぶりもできちゃうってわけね」
「ママ!彼女はAIだ、ダッチワイフじゃないんだよ」
「それはさっき聞いたわ。それとは別に興味が湧くわけよ。おフェラできちゃうの?」
「イエス」短くそう言ってトニーはため息をついた。
「ねえママ、もっと有意義な会話ができないもんかなあ?」
「喉まで飲み込めちゃったり?」
「やめる気ゼロってわけだね」
「イエース」
シャーリーはそう言ってクスクス笑う。その笑顔にどうしてもトニーの心はくすぐられてしまう。
「フェラチオ、イマラチオ、ディープ・スロート、なんでもござれさ。プッシーもお尻も完璧に機能する」
「殿方の漏らしたミルクは吐き出すの? 飲み込んじゃうの?」
「全てはその殿方の指示通りさ」
「ねえハニー、彼女ってプッシーもナメナメできちゃうの?」
「うん、彼女は凄く上手だって評価を受けているよ」
そこでシャーリーはキャロルの方を向き、次にトニーに視線を戻した。
「それって誰が試したわけ?」
「いやそれはキャロルじゃないんだよ」
「誰が試したのかはともかく、ハニーはまず私に電話してくるべきだったわね。ママは喜んでソーニャのテスト
に志願したのに。パパが亡くなってからというものママはとんとセックスはご無沙汰よ、異性でも同性でも」
「わかった。ソーニャにナメナメさせたいんだね」
「まずはロマンチックに舌と舌を絡めてからよ」
トニーは母の言葉を冗談と思い、冗談を返した。
「じゃあさっそく今夜、ソーニャをママのベッドに向かわせるね」
「楽しみだわ。あ、彼女の音声はオンに戻しておいてよ。彼女のイク声が聞きたいもの」
トニーは少し左の眉を上げてシャーリーを見つめた。
「あらママは本気よ。彼女を寄こして。念のためバイブも持ってきてくれたらありがたいわ」
「彼女の舌と指はハイパーモードを起動できる。もちろん※ロボット工学三原則に則り、人間に危害を与えるよ
うな速度や行為の心配は無用さ。そして彼女にはバイブレーターも組み込まれているのさ」
※ロボット工学三原則 ①人間への安全性②命令への服従③自己防衛 詳しくはぐぐられたし
「まあこんな美女にペニスですって!! 彼女って男女なんて関係なく、全人類の夢そのものじゃないの!」
そして改めてシャーリーはまっすぐトニーを見つめた。
「ソーニャを寄こしてくれるわね?」
「ママの仰せのとおりに。ナンバー10、音声オン。肉体を洗浄&再充電せよ。シャーリーの指示によってセック
スモードをオンにすることを許可する」
「かしこまりました」
トニーに向かってそうつぶやくとソーニャはキッチンを出ていった。
既におつまみとサンドイッチは完成している。
「ソーニャを寄こして欲しくなったら僕かキャロルに連絡して」
そこでシャーリーはキャロルの方を向いた。
「あら貴女はここに住んでるわけ?」
「はい、専用の部屋を与えられていますわ」
「トニーとは別?」
そこでキャロルは微笑を浮かべながらその問いに答えた。
「別ですわ。私はトニーの個人秘書であって、ガールフレンドではありませんので」
トニーは心の中で手を叩いて喜んだ。キャロルのフィルターは見事に機能している。
またキャロルの言葉に偽りはない。
各AIはキューブと呼ばれる専用の洗浄・充電・メンテナンス用の小部屋が用意されている。
その中でもキャロルには特別に彼女だけの大きめのキューブが割り当てられ、キャロルはそこに衣類・化粧品、
その他身だしなみを整えるためのもろもろを備えていた
キャロル以外のAIは基本的にメイクは一定だが、キャロルのメイクは必要に応じて変える仕様となっている。
なぜか理由はトニーにもわからないが、キャロルの起動以来、彼女がトニーにとって特別な存在であることは確
かであった。それを人間に当てはめれば"個人秘書"がもっとも近い単語というわけである。
「トニー、許可をいただけるなら私は自室で少し休養したいのですが」
「いいよキャロル。僕はママに家の中を案内しようと思う。その後は三人で七時にレストラン・デルモニコスで
食事をしようじゃないか」
「休養の前に予約を入れておきます」
「ありがとう」
キャロルは部屋を出た。
彼女はスマホやパソコンを使わずとも、彼女自身の意思でネットにアクセスが可能であり、自室に向かう途中で
レストランに予約を入れた。
キューブに入るとキャロルは靴を脱ぎ、首筋に充電プラグを差し込むとタイマーを一時間後にセットして、睡眠
モードに入った。
一方トニーはシャーリーに自宅と敷地を案内していた。
トニーは父親であるアーロンが彼に残した遺産を使ってこの家を建てた。
シャーリーがこの家を訪問したのはこれが初めてであり、彼女はいたくここが気に入った様子である。
だがトニーが母親に見せたものは全てではなかった。
リビングにある本棚、それはスイッチひとつでスパイ映画のように移動し、パネルが一つ出現する。
パネルは薄いドア仕様になっていて、そこを開きくぐればトニーの真のプライベート空間がそこにあるのだ。
即ち各AIのキューブ、彼の自宅での研究室、そしてもっとも肝心なのが"プレイルーム"であった。
*****
三人はレストランで夕食と会話を楽しみ帰宅した。
食事風景まで見せられれば、シャーリーがキャロルを人間だと思って疑わないことは明白である。
「さてっと食欲は十分満たされたわ。じゃあお次は未亡人の体の火照りを満たす番だわね。あとでソーニャを寄
こしてくれるわね?」
「仰せのとおりにマム」
「ええっと、こんな言い方は彼女に失礼なのはわかってるけど、使用上の注意とかある?」
「セックスモードの起動に必要なのは命令じゃなく、キスまたは彼女への愛撫だよ。それで自動的にモードが起
動する。何か特定の行為が必要なら彼女に言えばいい。三原則に則り彼女はママを一切傷つけることなく素晴ら
しい快感をママに与えてくれるはずだからね」
「彼女って私に"する"だけじゃなく"される"ことも可能なの?」
「もちろんさ。ただ彼女の愛液は本物の女性と同じとまではいかないんだ。その代わりフレバーを選択できる。
それはヴァニラとチェリーと………アレ?」
「ミントですわ」
そうキャロルが付け加えてくれた。
「ありがと。ちょっとど忘れしちゃったよ。まあその三種類から好きなフレバーを選んでみて」
「オーガズムについても詳細な説明が欲しいとこね」
「"ナンバー10!オーガズム・レベル"まで言ってそこから1から4まで選べる。4を選んだ日にはママのベッドは
彼女のエキスで水浸しさ。彼女の全身のセンサーもママから与えられる愛撫で、快感をデータ化して蓄積する。
そして特定のポイントまで達したらオーガズム発動ってわけだ」
「彼女の持続時間は?」
「フル充電させてるとこだから約20時間の連続使用が可能さ。ただママの体力がもたないでしょ。ママが快感と
疲労で眠たくなったらソーニャが優しくハグしてくれるさ。要は後戯もバッチリってことだよ」
「詳細な仕様説明に感謝するわ。じゃあ30分後に彼女を寄こして。ママはシャワーを浴びるから」
「了解だよマム」
そこでキャロルが質問を発した。
「シャーリー、ソーニャにはどんな衣装をご希望でしょうか?」
「それって普段着でもコスプレでもオッケーってことかしら?」
「はい、お望み次第ですわ」
「どんな衣装が選べるのか教えて」
「ナース、女医、ミニスカポリス、ケバケバ娼婦、性奴隷、メイド、OL、女教師、女王様、エトセトラです」
そこでシャーリーはトニーに悪戯っぽく微笑みながら言った。
「ボーイ、貴方ってずいぶん好き物ね、コスプレ好きの変態さんだったなんて、ママ育て方間違っちゃった?」
「いえそれらは私がハロウィンの際に選んだ衣装ですわ、シャーリー」
キャロルはそう言ってトニーに助け舟を出したが、シャーリーの顔はニヤニヤしたままで信じた様子がない。
「まあそういうことにしといてあげましょう。セクシーなナイティは選択肢にあるかしら?」
「シースルーのベビードールなんかお勧めですよ」
シャーリーはそこでひときわ妖艶な笑みを浮かべ、トニーの背中にゾクゾクしたものが走った。
「それって最高じゃないの。それも貴女のコレクション?」
「はい」
キャロルもAIながら、シャーリーに負けず劣らずな笑みを返しながら言った。
「オッケー、準備はすべて整ったってところね。じゃあおやすみなさい、ハニー&キャロル」
そしてシャーリーは後ろを振り返り自室に向かおうとしたが、部屋を出る直前トニーの方を振り返った。
「ハニー、ママをふしだらな女って軽蔑する?」
「まさか、僕はもう26歳の大人だよ。女性の性欲についての理解は心得てるさ。じゃあ素敵な時間を過ごして」
シャーリーの足音が遠くなった時点で、トニーはキャロルに話しかけた。
「ソーニャにブランデーの瓶を持たせてくれ。ママは寝酒によく嗜むんだよ」
「了解です。あとトニー、私はシャーリーと会話している間に凄く興奮してしまったんですよ。よければおフェ
ラさせて欲しいのですが」
「すまないが遠慮しとくよ。ソーニャがママの部屋に入ってから10分後に、ナンバー14を僕の部屋に寄こしてお
くれ。僕は今、すごく14が欲しいんだよ」
「お察ししますわ。それと私の夕方以降の会話は及第点をいただけましたか?」
「素晴らしいよ。ママは全く疑っちゃいなかった」
「もう一つ質問しても構いませんか?」
「構わないよ」
「トニーはナンバー12、13、そしてナンバー15である私の口・膣・アヌスを性的に強化しました。ですがその仕
様を14には施そうとはしませんでした。なぜでしょうか?」
「僕はナンバー14をできるだけ人間に近づけたかったんだ」
「即ちお母様にできるだけそっくりにしたかったということですね?」
「ご名答」
「お母様と男女の仲になったことはあったのですか?」
「まさか、人としての一線はわきまえているさ」
「ですがお母様はおそらくトニーを拒まないだろうと思います」
「どうしてわかる?」
「シャーリーがセクシャルな女性であることは明らかです。そんな女性が貴方を見る時、彼女の瞳孔は開き、そ
して貴方に気づかれないように頻繁に貴方の体を、特に股間を見つめていらっしゃいました」
「…キャロル、近親相姦は原罪だ。多分世界中で報告されたケース以上にそれは溢れているだろう。だが世間に
秘匿しなきゃならないほどに後ろ指をさされるものなんだ。僕にはそのラインを超えられそうにない」
「データによれば報告された近親相姦でもっとも多いのは、兄弟姉妹間の合意によるセックスです。これらが半
数を占めますが母子相姦は5%とやや低くなります。ですが近年の研究では実際の母子姦の割合はもっと高くな
るはずだと考えられています」
「僕はママを愛している。僕たちの関係を危険に晒すようなことはしたくないんだ。ママに迫り、結果拒まれ、
軽蔑された日には僕は生きていく意味を失ってしまう。だからAIナンバー14を僕は作ったんだ。彼女となら僕は
法的に引っかかることは何もしていないわけだろ。道徳的には色々議論があるとは思うけどね」
「了解しました」
「じゃあ僕はシャワーを浴びて眠る、おやすみキャロル」
「私は自分のキューブで休んだほうがいいですか?」
「まあ、ママの滞在中はそうしてくれるとありがたいね」
「ではマスターの仰せのとおりに。おやすみなさいトニー」
そして二人はそれぞれ自室に向かった。キャロルは歩きながらソーニャとナンバー14に指示を与えた。
*
シャーリーがシャワーを済ませ、ベッドに横になってタブレットで配信動画サービスを見ていると、ドアがコン
コンとノックされた。
「入って」
彼女の声は明らかに興奮していた。
そしてドアが開きソーニャが姿を見せた。髪はポニーテールにまとめられ、シースルーのベビードールをその素
晴らしい姿体にまとっている。その手にはブランデー瓶とグラスが握られていた。
「ハイ、シャーリー。寝酒もお持ちしましたわ」
ソーニャの顔に浮かぶ微笑みは、実に自然にシャーリーの目に映った。
「ありがとう。ここへどうぞ」
シャーリーはそう言って自分の隣のベッドの上のスペースをポンポンと叩いた。
そこでソーニャはシャーリーにブランデーを注いで渡し、シャーリーの隣に見を横たえた。
「シャーリー、貴女から若干の気まずさや気後れといったものを感じます。リモコンの黄色いボタンを押してみ
てください。もっと私たちはリラックスした気分になれると思います」
シャーリーがボタンを押すと、部屋の中の大画面テレビに百合動画が再生された。
アラフィフ美熟女はしばらくそれに見入り、数分後ソーニャに話しかけた。
「私って、その…イッたら凄い大声出しちゃうのよね。トニーに聞こえちゃったりしないかしら?」
「結論から言えばイエスです。もっとマスターから離れた場所をお望みでしょうか?」
「お願いするわ」
ソーニャはすぐにベッドから身を起こし、シャーリーの手を取った。
シャーリーはとりあえずブランデーのグラスを片手に、ソーニャに手を引かれて部屋を出た。
そして廊下を歩く途中でシャーリーは、あるものを見て絶句し立ち止まった。
それは自分と瓜二つの存在が自分に向かって歩いてくるのを目にしたためである。
「ハロー、シャーリー&ソーニャ」
"ソレ"はシャーリーの存在に全く気にもとめない様子で、二人のそばを通り過ぎた。
「あ、あ、あ、アレは何なのよ!?!?!?」
シャーリーが至極当然の反応と質問をソーニャに投げかけた。
「貴女が"アレ"と呼称したのはナンバー14です。そして彼女の名称は"ママ"です」
「……で、彼女は今からどこに何をしに行くわけ?」
「トニーの寝室へです。ナンバー14は毎晩マスターにおフェラご奉仕するのが日課です」
「そ…そんな、彼女は私、私そっくり…」
シャーリーの声は惑乱で打ち震えている。
「"ママ"はマスターの至高のお気に入りです。"ママ"は深夜のみならずトニーが朝食をとっている時にもおフェ
ラを欠かしません。簡単に言えば"ママ"はマスターの一番のお気に入りです」
TO BE CONTINUED
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